BAD END後の世界

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おや。
ここに人が来るのは
何年ぶりだろうか。

……なんなんだ、
この世界は。

何もないじゃないか。

しかも……

そうだ。

この世界の定義は2つ。

1,何もない。
2,僕しかいない。


……

おまえも
早く立ち去るといい。
何の間違いで
ここに来たのかは知らないが、
ここはおまえの来る場所ではない。

この世界は、
いったいなんなんだ。
どうしてこんな形をしている?

おまえは、
RPGゲームをやったことはあるか。

……!?

RPGゲームには、
エンディングが分岐するものがあるだろう。

プレーヤーの選択によって、
大概、
HAPPY END、
NORMAL END、
そして、
BAD ENDの3つに分岐される。

言ってみればここは、
そのBAD END後の世界だ。

BAD END後の世界……?

RPGをしていて、
BAD ENDを迎えた時、
どんな気持ちになった?

救われない結末。
闇に染まる主人公。
解明されないままの問題。

そして、
どうしようもない
虚脱感、孤独感、失望感。

あらゆる負の要素が、
BAD ENDには
残ったままだ。

だが、それらはもう
どうしようもできない。
どのような形であれ、
エンディングを迎えてしまったからだ。


それでもそれが、
ゲームならいいさ。
BAD ENDだろうが
何だろうが、そこで終わる。

リセットして、
NORMAL END、
HAPPY ENDを目指すこともできる。

と、いうか目指すよな?

BAD ENDで納得してやめるプレーヤーはいやしないさ。

……


だが、それが現実なら?




現実なら、どうだ?


当然、リセットボタンなんてものは存在せず……

BAD END後も、
当然の如くそいつの人生は続いていくんだ。


おまえは
想像したことがあるか?
BAD ENDになった
RPGが……

その後もBAD ENDの
世界を続けていく有様を。

主人公や登場人物たちは消化不良の闇を抱えたまま、
その状態のまま、
BAD ENDになった物語を生きていくんだ。

それが
BADだとしても、
ENDだとなぜ分かる?

なぜ決めた?

RPGで、
BAD ENDになった時を思い出せ。

『それでも、
まだ終わりじゃない』

と、言えるか? 
あの、圧倒的なまでの
喪失感に包まれたラスト。

あんな状態で、

『まだこれから、
何か出来るはずだ』

そう言えるか? 

仮に言えたとしよう。
プレイヤーの立場のおまえは、言えたとしよう。

だが、
主人公は言わないだろうな。
思わないだろうな。

だって、そうだろう?
主人公が、
あそこから幸せに、
希望に向かって歩む姿が、
少しでも想像出来るか?

出来ないだろう。
何故ならそれが、
BAD ENDだからだ。

何かをするのなら、
その後にするのではなく、
それ以前にするべきだったのだ。

エンドロールが流れた後では、何もかもが、もう遅い。

そのBAD ENDの先の世界を、おまえはずっと生きてきたのか。

そうだ。

僕が僕の物語のエンディングを迎えたのは、
もう何年も前になる。

僕の物語は、
遠く昔に終わっている。

これから後、
どうする?

ここで生きて、
今見ているものを見続けて、
死ぬだけ……。

BAD ENDとは、
そういうものだ。

今見ているものとは?



















……絶望だ。





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