恐れていた手紙

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……ふふふ。

あ。
手紙があったんだな。

どうして分かったの?

どうしてって、
おまえが隠れて笑ってる時は、いつもそうだから。

うん。
これは僕の唯一の、
ささやかな幸せ。

今日のは、
子供の頃の友達から。
遊びに行きたいけど
忙しそうだね、って。

それから……

それから?


……あとは恋人を
つくるだけだね、って。

へぇ。
よかったじゃん。

でも、だからといって、
なにかするわけじゃないんだろ?

しないよ、ってかできない。
できるわけない。

僕ができることは、
来た手紙を届けるだけ。

いままでも、これからも。


それが仕事だから……。





2ヶ月後



伴外、こないだ、
初めて会えたよ。

ものすごい偶然でさ。

最初に手紙を見つけた時も、
ものすごい偶然だなって
思ってたんだけど。

初めて、って言っても、
それは、
大人になってから、だろ?
子供の時は
毎日会ってたわけだし?

会ってただけね。

口を利いたのは、
本当にこないだが初めて。
形式的な、事だけど。

でも、すごく嬉しい。

同時に、
何もできなかった自分が、
すごく歯がゆい。

おまえのことは当然……

覚えてるわけないでしょ。





半年後



最近、
あんまり手紙がこない。
たまに来ても、
公的なやつだけ。

ほっ。
としてるんじゃないか。

……うん。
ほっとしてる。

知りたいのと同時に、
知りたくないから。

でもな。
よっぽどじゃない限り、
おまえが恐れている手紙は、
いずれくるぞ。

やっぱり、そうかな。
そうだよね。

来るさ。

そうして来たその手紙を、
おまえはその手で届けるんだ。

……うん。

残酷だが、
それがおまえが選んだ運命だからな。





2年後



伴外……

ついに、来たか。


……うん。

届けたのか。


……届けた。




前の、
あの友達からだった。

そうか。

なんて書いてあったんだ。



















うん……

結婚おめでとう、って。












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