よォ、伴外。
おまえも、
夢神教（ゆめがみきょう）に
入信してみないか？
おまえも、
夢神教（ゆめがみきょう）に
入信してみないか？
例の、最近
おまえが興した宗教か。
夢神……？
なにそれ？
信じて努力すれば夢は叶う、
とか教えんの？
おまえが興した宗教か。
夢神……？
なにそれ？
信じて努力すれば夢は叶う、
とか教えんの？
私がそんなポジティブな教えを説くわけがないだろう。
夢神の夢、とは人が眠っているときに見る夢のことだよ。
夢神の夢、とは人が眠っているときに見る夢のことだよ。
そっちの夢かよ。
ま、確かに
望む夢が叶うのは一握り。
だけど眠る夢の方は
万人が見られるものな。
単に眠ればいいわけだし？
ま、確かに
望む夢が叶うのは一握り。
だけど眠る夢の方は
万人が見られるものな。
単に眠ればいいわけだし？
……おまえには、
縁のない話だったのかもしれないね。
夢神様がお救いなさるのは、
日々、絶望の中で
生きる人々。
朝目が覚めてから、
夜眠るまでの全ての時間を
絶望し生きる人々。
彼らにとって安息の時は、
ただ夢の中のみだ。
縁のない話だったのかもしれないね。
夢神様がお救いなさるのは、
日々、絶望の中で
生きる人々。
朝目が覚めてから、
夜眠るまでの全ての時間を
絶望し生きる人々。
彼らにとって安息の時は、
ただ夢の中のみだ。
起きている時間が幸せになるよう頑張ればいいじゃないか。
無責任な発言をありがとう、差名山伴外。
私はね。
選民救済を
したいわけではない。
苦しい人、
みんな救いたいのだよ。
私はね。
選民救済を
したいわけではない。
苦しい人、
みんな救いたいのだよ。
だけど夢で救われるって言っても、
良い夢も見れば悪い夢も見るだろう？
良い夢も見れば悪い夢も見るだろう？
良い夢を見られれば、
それで良いじゃないか。
起きている間は、
苦しみしかないのだから。
だからこそ、
夢神様に祈るんだよ。
夢神様、
私に良い夢を見させて下さい、ってね。
それで良いじゃないか。
起きている間は、
苦しみしかないのだから。
だからこそ、
夢神様に祈るんだよ。
夢神様、
私に良い夢を見させて下さい、ってね。
夢神、ねぇ。
夢を見るということに、
そこまでの希望を持たせるわけか。
夢を見るということに、
そこまでの希望を持たせるわけか。
日々の全てに
絶望し生きる者たちは、
夢の中にしか
希望を持てないのさ。
人の幸せってなんだい、
伴外。
人の支えってなんだい、
伴外。
家族か？
恋人か？
友人？
仲間？
仕事？
趣味？
将来の夢？
でもね、
それら一切に絶望し、
それら一切から否定された人たちもいる。
その人たちを、
更に否定するやり方を、
私は選ばない。
絶望し生きる者たちは、
夢の中にしか
希望を持てないのさ。
人の幸せってなんだい、
伴外。
人の支えってなんだい、
伴外。
家族か？
恋人か？
友人？
仲間？
仕事？
趣味？
将来の夢？
でもね、
それら一切に絶望し、
それら一切から否定された人たちもいる。
その人たちを、
更に否定するやり方を、
私は選ばない。
夢の内容は
現実に左右される。
故に現実を捨てて、夢だけで救われよう、ってのはかなり難しい。
現実を放棄することによって、悪夢を見る確率は上がっていく。
酷な話だが
現実が幸せな奴ほど、夢でも良い思いができ、
現実に絶望している奴は、夢もまた悪夢になりやすいんだ。
現実に左右される。
故に現実を捨てて、夢だけで救われよう、ってのはかなり難しい。
現実を放棄することによって、悪夢を見る確率は上がっていく。
酷な話だが
現実が幸せな奴ほど、夢でも良い思いができ、
現実に絶望している奴は、夢もまた悪夢になりやすいんだ。
そうだな、その通りだよ。
事実、私も
１０回に９回は悪夢を見る。
現実のトラウマを見せつけられることもしょっちゅうだし、現実で常に危惧していることを、夢の中で体験させられることもある。
特に悲惨な日なんかは、 確実に、その日のままの悪夢を見る。
でもな。
それでも、
夢には不思議な力がある。
それは、現実では感じ取ることのできないものを、
感じさせてくれる力なんだ。
事実、私も
１０回に９回は悪夢を見る。
現実のトラウマを見せつけられることもしょっちゅうだし、現実で常に危惧していることを、夢の中で体験させられることもある。
特に悲惨な日なんかは、 確実に、その日のままの悪夢を見る。
でもな。
それでも、
夢には不思議な力がある。
それは、現実では感じ取ることのできないものを、
感じさせてくれる力なんだ。
現実で感じることのできないもの？
そう。
人間は色んなものを忘れながら生きている。
過去、無数の人に会っておきながら、
過去、様々な思い出を作っておきながら、
日常の中で思い出すのはその中のごく僅か。
死ぬまで思い出さない人も、
死ぬまで思い出さない出来事も、
無数にあるだろ？
人間は色んなものを忘れながら生きている。
過去、無数の人に会っておきながら、
過去、様々な思い出を作っておきながら、
日常の中で思い出すのはその中のごく僅か。
死ぬまで思い出さない人も、
死ぬまで思い出さない出来事も、
無数にあるだろ？
それを夢は思い出させてくれるってか。
それも、
その時の自分のままでね。
その時の自分のままでね。
その時の自分？
人は変わっていく生き物だ。
歳を重ねるにつれ、
世界観、価値観がどんどん変わっていく。
私のように
全て失ってしまう者もいる。
だが、
夢は思い出させてくれる。
過去、私がどんな感情を持っていたのか、そしてどんな人間だったのか。
それを思い出させてくれる。
歳を重ねるにつれ、
世界観、価値観がどんどん変わっていく。
私のように
全て失ってしまう者もいる。
だが、
夢は思い出させてくれる。
過去、私がどんな感情を持っていたのか、そしてどんな人間だったのか。
それを思い出させてくれる。
まさか、
おまえの夢神教の連中ってのは……
おまえの夢神教の連中ってのは……
そう。
みな、
自分を失った者ばかりだ。
魂の朽ちた抜け殻の身体。
それを以て歩む
無間地獄の日常。
そんな中で、眠り見る夢だけが生きている実感をもたらしてくれる。
そんな夢を見せてくれる夢神様を、我らは崇めているのだ。
……嗚呼、伴外。
夢神様が、
私を呼んでいるよ。
みな、
自分を失った者ばかりだ。
魂の朽ちた抜け殻の身体。
それを以て歩む
無間地獄の日常。
そんな中で、眠り見る夢だけが生きている実感をもたらしてくれる。
そんな夢を見せてくれる夢神様を、我らは崇めているのだ。
……嗚呼、伴外。
夢神様が、
私を呼んでいるよ。
呼んでる、っておまえ。
それ、単に眠くなってきただけだろ？
それ、単に眠くなってきただけだろ？
夢神様。
どうか、どうか今夜も会わせて下さい。
会いたいんです。
私が会いたいのは、
ただ一人。
彼に会わなければ、
私は誰に会っても、
誰かに会ったことには、
ならないのですから。
どうか、どうか今夜も会わせて下さい。
会いたいんです。
私が会いたいのは、
ただ一人。
彼に会わなければ、
私は誰に会っても、
誰かに会ったことには、
ならないのですから。
