日本を100人の島に例えたらを読んで【2】

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東大生が日本を100人の島に例えたら
面白いほど経済がわかった!

という本を読みました。
1500円くらい出して購入しました。



「逮捕されない券」いっぱいほしい。

前回の記事↑。この本は非常によくできた本だと思ったので、2回に渡って紹介していきたいと思います。

【内容的には1/5程度しか紹介していませんが、当記事(及び前回の記事)は著者、著書出版社、または関係者の方々から苦情等があれば、直ちに削除、または訂正します】





国ができるまで


私たちは生きるために様々な供給をします。
基本的には、生きるため
その次は、楽しむため

肉を採ったり魚を採ったり
野菜を作ったり服を作ったり
建物を作ったり、
数えきれないほど供給があります。


この供給を、互いに交換し合えた方が、
生きやすいです。

それぞれが自己責任で自給自足していたら、一人で衣食住すべて賄わないといけないし、短期間であっても動けなくなったら死です。【社会全体の生存確率を上げる】ため、この供給を分担して行い、分配・交換しあうシステムが、村や部族から始まり、最終的に、こんにちのような国になりました。



お金は供給分配のためのアイテム


供給分担・分配・交換
スムーズにするアイテムが、お金です。

本当に、お金って、
それ以上でも以下でもないのです。




著書では

国という供給分配システム
のために存在するアイテムをお金、

としています。

システムをより円滑に
運営するために有効なアイテム

この定義は的確だと感じます。
システムのためのアイテム
という表現は、私が見てきた中で
一番しっくりくるものでした。

・・・しかし、現代社会では
お金自体に絶対的な価値がある、
世の中金、など
間違った認識がまかり通っています。

敵は多い。しかし、賢くはない。

(私も何年か前までは脳内金本位制でした(このブログが始まった時もw))

お金は、社会の本質的な価値である供給を円滑にするための道具(手段)でしかありません。お金が無くても社会は成り立つんですが、物々交換と脳内信用だけなので今よりも遥かに不便で、なおかつ多くの問題を抱えた社会、となるでしょう。分担・分配・交換、どれもしにくいし、現物しかないので貯めることができないし、信用で前借りする際も、ただ相手を信用するしかない。なので、お金というアイテムは、社会にとっては、あったほうが断然いい。


問題はそのお金が、
本来の意味通りのものではなくなっている、
ことにあります。

本来のお金の意味=
供給を円滑にするアイテム【正解】
現在のお金の意味=
それ自体に価値のある
魔法のアイテム
【間違い】


お金という交換券をより多く手に入れようとして(交換券で供給と交換し、良い思いがしたくて)、多くの人は「人に役立つための商売」をし、その商売が社会を構成していきます。自分が稼ぐために、他人により良いサービスを提供しようとする……市場原理のこういった側面は肯定されるものだと思います(我々はその恩恵を多大に受けています)。

しかし、お金は、神が人間に与えた魔法のアイテムではなく、人間が「利便のため」に作り出したアイテムです。


きつい仕事ほど、高給であるべき

ですよね。【これは、私の意見です】
社会に必要だけど、きつい仕事
本来3k(きつい、汚い、給料安い)はおかしいのです。
だって、きつい、汚い仕事は、なり手がいないから、高給の仕事になっていくはずなのに(需要があるけどなり手がいない仕事は、働き手を呼ぶために高給にする必要がある)。
なぜそうなってないかと言えば、労働者が我慢して、妥協しているからです(ほか、移民など誤った政策も理由に入っている)。金がないのだから、仕方がない。生活の為に仕方ない。(高収入の職に就けていないのは)自己責任だから仕方がない。と自責して3k職場でも我慢して働いてしまうのです。現在の日本では(日本だけじゃないけど)きつい仕事なのに、給料は低い、なんてことはざらにあります。




お金は便利なアイテムだが、欠点もある


お金という交換券をより多く手に入れようとして、多くの人は「人に役立つための供給」をし、その供給が社会を構成していきます。交換券であるお金をたくさん手に入れ、たくさんの供給と交換して自分が良い思いをしたい、となります。
これは悪くはないのですが、これ【市場原理】だけだと社会は上手くいきません。

理由は簡単で、欲に身を任せたら
弱肉強食になるからです。



交換券を多く持つことに成功した人は、もう交換券を持ってない人と同じ土俵にいません。手持ちの交換券分、有利に戦えます。この差は、時が経つほど開いていきます(たまに部分的には下剋上みたいなことも起きますが、全体で見ればまあ起きません)。で、最終的には今みたいに1%の超お金持ちと99%のそれ以下になってしまうのです。

お金のある所に、お金は集まります。

私は以前より(当ブログ初期より)、人間社会の理想として、万人に最低限度の生活が保障された上で、自由競争がされる社会、を挙げていました。しかし、この考えはがありました。それは、自由競争で金持ちになった人に適正な規制をかけないと、その資産はどこまでも肥大化し、肥大化し過ぎた富はやがて金権的になり、万人の最低限度の生活すら脅かします(これは未来の予想ではなく、過去・現在でもう起きていることです)。


また、【市場原理では】誰もが金儲けのための行動しかしないため、金儲けに繋がらないインフラ業務などは無視されます。更には、「数字が数字を生み出したり」とか「人を騙す」ようなやり方で金を稼ぐ人も出てきます。

「お金を儲ける」と「社会に役立つ」はイコールでないケースも結構あります。よって「お金は儲かるけど、社会には役立たない(どころか場合によっては害悪)」なものは、社会的に良くない、と言われます(これの顕著なものが詐欺や虚業です)。しかしこの肝心の社会が「世の中金」「金がないのは自己責任」というような思想が強まったり、社会全体としての生活水準が落ち(て人々の心に余裕がなくなっ)たりすると、社会的に良くない、という(社会の)声が小さくなって、「金さえ儲かれば、それが正しい」という声が大きくなっていきます【まるでどこかの国みたいですね】





市場任せにすることを、
市場原理主義といいますが、
これ(だけ)では社会全体は上手くいきません。


金持ちの善意やモラル頼みの社会は、
良い社会とは言えません。
(例えば、若い人はまだ可能性があるから助けよう。でも高齢者はもう役に立たないから助けなくていいや。みたいな感じになります(個人レベルではこういった好悪はあっていいのですが、社会レベルでこれをやると、単なるディストピアになります))


お金と公務員


全ての仕事を、
民間競争(市場原理)にまかせっきりでは、
社会は上手くいきません。
特定の仕事は、国が管理しなければ、
社会は上手くいかないのです。

国が管理、というと拒否反応を覚える人がいます。しかし、国が管理しない=自由、ではないですよ。国が管理しない=金持ち(強者)が管理する、ってことです。


特定の仕事……例えば
行政、警察、消防、
清掃、研究、水道、ガス、電気
などは、自由競争に任せると、
社会として上手くいきません

単純に考えたら「自由競争だとより良いサービスが残り続け、社会が良くなる」とも思いますよね? この考えは【正しい部分もある】し、【間違っている部分もある】。ケースバイケースで100%正しくはありません。「自由競争だとより良いサービスが残り続け、社会が良くなる」だけで考える人が非常に多いですが、それではダメです。

まず、権力のある仕事(行政・警察)などは悪人(の金持ち)が独占したがります。例えば、警察が民間事業になって利益追求し始めたら、お金持ちは金を渡して逮捕を免れるでしょう。公的機関である現在ですら、そういった汚職は一部ありますが、民間警察になれば、営利団体になるので、もう完全に金でしか動きません。警察というより金持ちの私兵になってしまう。これでは社会の秩序が守られませんね(どういうこと(事件)が起きるか想像してみて下さい)。


次に、公園のトイレの清掃とか、金が儲かる仕事ではないので、誰もやりたがりません。でも、誰かがやらないと公園のトイレは汚れまくってしまいます。
また、水道、ガス、電気のように我々の生活に必須で需要が必ずあり、かつ高い利益を永続的に見込める仕事も同様です。他にも研究職などは、短期では利益が出ませんが数百年単位で新しい発明が成され、社会(文明)のステージが上がる可能性がある仕事です。


これらの仕事は個々の利益を追求して成果を出す仕事ではなく、社会全体の為を考えて存在する仕事です。

公的な仕事は利益を出す必要がありません


これを、公務員(国)がやります。



民間に任せると

①利益特化で、我々(特に金のない人)が十分なサービスが受けられなくなる
②そもそも儲からない為民間でなり手がいない

という問題が起きます。

そのため、
国がお金を(作って)出し
その仕事を社会の為に維持させるのです。

上記のような種類の仕事は、営利に走ってはダメな存在なのです。営利にならなくても、国から(国が作った)お金をもらうことで存続する仕事でなくてはなりません。

公の仕事は利益を追求してはいけませんし、それをしなくても働き手が満足できるようにそこそこの給与水準を国が約束しなくてはなりません(でなければ(政治家や警察などの権力がある仕事の場合、悪用したい人がいるため)悲しいかな、人間は金の誘惑に負けてしまいます。仮に政治家の給料が年収350万くらいだったとしたら、汚職が増えます。「権力はあるのに低収入」とか金で釣ってください、と言ってるようなものです)。

また、水道・ガス・電気など「お金にはなるけど、悪い人・ずるい人が担当すると島のみんなが困ってしまうために、国で管理した方が良い仕事」も、公務員がやります。

引用:日本を100人の島に例えたら 27P

外資などが、民営化させて個人の利益にしてしまおうとしているのは、この辺りの業種ですよね(もちろん、民営化されると、金がないと段々サービスが受けられないようになり、インフラとして微妙になります)。



国の目的と問題


著書では

国の目的を、
国民の幸せ、としています。

これは一部ではなく、国民全員です。
(私もこの考えに同意します。マクロがこの視点じゃないと、社会は地獄になります)

そのために、

文明の発展
平和維持


が必要です。

文明の発展は、
文明が発展すればするほど
生活が便利になります。

平和維持は、
平和が維持されると
生活が脅かされなくなります。


そのために、

①弱者救済
②ずるい奴を罰する

が必要です。
(+強者への規制も必要)

弱者救済
社会においては、弱者と強者が必ず生まれる。弱者は不運によりなってしまうこともある。が、重要なポイントは、どういう理由で弱者になるか、ではなく、弱者を放置すると、国の治安がどうなるか? である。社会に見捨てられた弱者の末路を想像してほしい。自殺が最もマシだが(社会的にはという意味)、犯罪や反体制に傾く人もいる。これが国の平和を乱す(上記の平和維持の否定となる)。よって弱者救済は必要なのだ。


ずるい奴を罰する
本来、通貨制度のある社会では、供給の対価として通貨を得る。しかし、人を騙したり奪ったりして通貨を得たり、そこまで酷くはなくとも、供給よりも手に入れる通貨が明らかに多い場合など、これらがずるい奴、に該当する。これを放置すると、「何をやっても金を手に入れたもの勝ち」の(今みたいな)世の中になる。肝心の「供給」より「金儲け」が優先される(今みたいな世の中になるw)そうなれば文明の発展」「平和維持」ともに阻害される。国民100人のうち詐欺師が10人いたら、供給者は90人になってしまう。これでは文明の発展が阻害される(90人より100人で供給した方が良い)。よってずるい奴は、罰せねばならない。



穴から這い出ようとする者、穴に落ちまいとする者は救えるが、自ら穴に落ちようとする者は救えない。


お金はモノ・サービスの価値を表現できる便利なアイテムですが、モノ・サービスの価値を「正確に」表現できる万能アイテムではない

引用:日本を100人の島に例えたら 109P
のです。



グリッチマンの定義が素晴らしい!


これは、感動しました。
著者はシステムの穴を見つけて金儲けをする人を、グリッチマンと名付け、それを「ほぼ誰の役にも立っていないタイプ」「なにかしら貢献はしているものの、貢献度の割に稼ぎ過ぎているタイプ」に分けています。
この分別は素晴らしい! 

特に、コレ
↓↓↓↓↓↓
「なにかしら貢献はしているものの、
貢献度の割に稼ぎ過ぎているタイプ」



現代社会では前者は判りやすいため、悪人として定義されることが多いのですが(それでもたまに擁護されますが(転売ヤーですら擁護されてるので^^;))、後者は本当に見逃されているケースが多い印象です(役に立っている一部分をクローズアップ(誇張)して多くの人を煙に巻くのが、彼らはとても上手いのです。後者には一般人の大多数が騙されています。

大衆は、物事を理論(理屈)よりも、
【雰囲気】で判断する生き物です。

私もあんまり人の事いえないけどねw

小学生でも解るレベルの話をしよう。
穴から這い出ようとする者、穴に落ちまいとする者は救えるが、自ら穴に落ちようとする者は救えない。

悪の芽は判りやすいので
摘まれやすく、育ちにくい
です。
一方、善(良い部分)も混じった悪
というのは判りにくく、
それゆえ摘まれにくく、育ちやすいため、
巨悪になる
のです。



そして、私もよくやってしまうのが、グリッチマン本人や、グリッチマンに騙されている人を攻撃する、というものです。
建設的な意見は、人ではなく、システムの穴を問題視し、修正する、と著者は提示していて、これは【公として】とても優れた意見だと思いました。
ま、でもシステムの欠陥を指摘する行為、にはなってると思います。誰も穴に気付いてない状態では、穴を塞ぎようがないので。

私は詐欺で稼いだ金に200%の税金をかける法律を望みます。詐欺をする人間は損得だけで物事を割り切って考えます(その性質が普通の人よりずっと強い人間(というかその手の心が欠落した人間)が詐欺をします)。リスクが非常に高いと判断すれば、彼らは詐欺をしようと思わなくなりますから。200%課税ということは、詐欺で1000万稼いだら捕まった時に2000万円支払わなければならなくなります。こういう法律があると「詐欺やってみよwもし捕まったとしても儲けた金全部取られるわけじゃないし、やったもん勝ちじゃん?www」っていう人が確実に減ります。逆にこういうことをやらないと、真面目にやってる人は真面目にやるのが馬鹿らしくなります(私もすでにかなりなってますw)。はやく詐欺師を徹底的に取り締まれよwって思います。これやらないと、どんどん真面目にやるのが馬鹿らしい人が増え続けます。消費税増税とかアホなことやってないで、こういう悪にこそ、容赦なく税の力を使って、課税してやりましょう。

租税の役割のひとつに、悪への課税があります。


法の抑止力効果:これってすごいです。実際に捕まらなくとも「もしかしたら捕まるかも?」となればそれは十分抑止力になります。脱税なんかが正にそうですね。実際捕まるのはほぼほぼ巨額のケースだけです(理由は税務署に人的なリソースがあるから)。しかし多くの人が「脱税したら捕まる;;」と思っているだけで抑止力になってます。かつての暴力団に対する暴対法や、総会屋に対する商法改正も、すさまじい威力でした。暴力団の力も相当弱まりましたし(代わりに半グレが出てきたけど)、総会屋に関しては文字通り根絶されましたもんね。

今、詐欺師に対して、
これをやる時が来ているのではないですか?


国民が報われるための行動をしている人より、国民が愚かなことを織り込んで行動する人の方が報われる。





この他も、
著書には

・国には財政的制約はないが、実物的制約はある
・インフレが良い、のではなく、好景気になるとインフレになる
・実を結ばなかった、金融政策(利下げと量的緩和)
・証券化ビジネス(リーマンショックの実態)
・国債や為替・物価について

など、様々な読み応えのある部分があり、これらも個人的な勉強のためにアウトプット(文章化)してたんですが、あまりここに書き過ぎると良くないので、本記事を読んで興味を持ったかたは著書を購入して下さい。




2回に分けて紹介しましたが、ぶっちゃけ著書は良書だと思います。「大事なことを解りやすく」書いているからです。私は「あれ?ここはおかしくね?」「ここは説明足りなくね?」みたいなのがあれば書くんですが(前の本の時は結構書いた)、なんか・・・特に何も書くことなかったのです^^;

いま地球上には、現在の人類全員が生きていくために必要な食糧・モノ・サービスがあります。だから役割分担と分配さえうまくできれば、物理的にみんなが暮らしていくことは可能です。

引用:日本を100人の島に例えたら 283P

いま地球上には、
現在の人類全員が生きていくために
必要な食糧・モノ・サービスがあります。






「逮捕されない券」いっぱいほしい。




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