ではないか、と考えます。
【当記事執筆:2024.10】
Contents
1億円あれば株の配当金だけで生活ができる
「1億円あれば
株の配当金だけで生活ができる」
という意見を目にしたことがあります。
配当金は大体3%程度。
そのため1億円株式で保有していれば
毎年300万円の配当金がもらえる。
だから配当金生活が可能、
という意見です。
一見正しく見えますが……
この考えの中には
アセットアロケーションの
概念が入ってないです。
要は保有している全金融資産の
1億円を株に
フルインベストメント(全額突っ込む)
なわけですよね?
その人が保有する全金融資産が
1億円。それをすべて株式に突っ込む。
「1億円あれば」という文言からして
そういう意味だと解釈できます。
もし、保有金融資産総額2億円あって、
1億円を株式に、ということなら
「2億円あれば」になるはずだから。
私は1億円なんて到底持ってないですし
配当生活も自分には無理だと思っているので
今回のは単なる思考遊びとして書きます。
本当に、1億円あれば株の配当金だけで生活ができる?
「1億円あれば
株の配当金だけで生活ができる」
株の配当金は現在(2024年)大体3%程度。
そのため1億円株式で保有していれば
毎年300万円の配当金がもらえる。
300万円あればいわゆる普通の生活、が可能である。
ちなみに2024年10月時点で
SBI証券で調べたところ
世界株のインデックスに投資する
VTの配当利回り(分配利回り)は
1.87%
米国のインデックスに投資する
VTIの配当利回りは
1.33%
どちらも3%に大分及びません。
一方、高配当で有名なJTは
4.48%でした。
一概には言えませんが、高配当な株や投資信託・ETFには【高配当の理由】があると感じます。分かりやすい例で言えば、配当重視(インカムゲイン重視)のETFはそうでないETFよりもキャピタルゲイン(値上がり益)の面で劣る傾向が見られます。なので、出来るだけ高配当の株を買えばいいじゃん、という単純な話ではないかと。ちなみに私個人は、インカムはおまけ程度に考えて、キャピタルゲインの方を重視して投資商品を買っています。
なので、「想定」として
まあ平均的には
配当利回りは大体3%くらい
ということで良いんじゃないかなと私も思います。
3%で1年に300万円。
これで考えていきます。
税金などは面倒くさいので省略します。
アセットアロケーションの観点を見落としている
しかし、
この
1億円あれば
1億円分株式を買って
そしたら配当利回りが大体3%だから
1年で大体300万円配当金でもらえて
年収300万円なら普通の生活が出来る。
は、アセットアロケーションの観点
を見落としています。
よって、「これ(1億円あれば配当生活)」
が可能な人は全体の1割もいない、と
私は考えます。
1億円金融資産(貯金)がある人が
その1億円すべて株式に突っ込むことを
フルインベストメント、といいます。
そして、フルインベストメントで
株を持ち続けられる人は、ほとんどいません。
リーマンショックやコロナショック級の暴落でなくとも、例えば2024年8月頭の日銀の利上げによる株価下落程度でも、結構な人がフルインベストメント(かそれに近い状態)だと、投げ売りしてしまう。
実際、あのとき(2024.8)損切りした人も
結構いたのではないでしょうか。
かくいう私もかつて、コロナショック時(2020.3)に
保有していた株式の大半を投げ売りしました。
当時の私は、フルインベストメントではなく
無リスク資産も持っていて
さらに株式資産は1000万円ちょっと
だったにもかかわらず耐えられなかったのです。
これが、フルインベストメントしてて
しかも金額が1億円だったら?^^;
アセットアロケーションがフルインベストメントになっている時点で、ほとんどの人に不可能
(1億円持っている前提だとしても)
株式を長期保有するなら
アセットアロケーションが大事になってきます。
アセットアロケーションとは
リスク資産と無リスク資産の比率。
簡単にいえば、
株式:日本円 の比率です。
この比率が株式に傾くほど投げ売りしやすく、
日本円に傾くほど投げ売りしにくいです。
1億円を全額株にして
年300万円の配当金を得る、は
フルインベストメント、
つまり株10:円0であり
最も投げ売りしやすい状態にあります。
で、投資資金が少額…
せいぜい100万円や200万円なら
どうってことないでしょう。
多くの人が1年も働けば稼げますから。
しかし、1億円。
これを株式にフルインベストメントしていて
(フルインベストメント=自分の持っているお金全部株式(などのリスク資産)にすること)
暴落時や下落時に持ち続けられる人は、
私は1割もいないと思います。
総金融資産が1億円の人が1億円株で持っていて、暴落がきて、株価が30%下がり、1億円が7000万円まで減った時、しかもそこから更に下がっていく底なし沼が見える時(この時は、底なし沼が投資家全員の目の前に広がっています)、持ち続けられますか? 多くの人はNOでしょう。
と、なると
毎年300万円の配当金がもらえて
配当金で生活できる。
これが殆どの人にとって
不可能であることになります。
下落時に殆どの人が損切りしちゃうから。
1億円(以上)をずっと運用し続けなければ
年300万円の配当金生活は出来ません。
1億円で無理なら、いくらあれば配当金生活は可能か?
じゃあ、いくらなら
(大体利回り3%として)
年間300万円の配当を
受け取れるのでしょうか?
まずアセットアロケーション
から考えましょう。
以前の記事で、こういうのを書いたんですが
↓
リスク資産9:無リスク資産1 高リスク
リスク資産8:無リスク資産2 高リスク
リスク資産7:無リスク資産3 高リスク
リスク資産6:無リスク資産4 中リスク
リスク資産5:無リスク資産5 中リスク
リスク資産4:無リスク資産6 中リスク
リスク資産3:無リスク資産7 低リスク
リスク資産2:無リスク資産8 低リスク
リスク資産1:無リスク資産9 低リスク
リスク資産0:無リスク資産10 ノーポジション
多くの人は、フルインベストメントどころか、高リスクのアセットアロケーションですら、きついと思います。これは、私自身の実体験と、あとは主にネット上で他の様々な投資家(投機家)を見てきた上での推論です。
私は、普通の人が無理なく運用できるのは、
この辺なんじゃないのかな?
と思います。
となると、
1年で300万円の配当金を得るためには、
1億円ではなく、2億円必要になります。
金融資産2億円持っていて、
そのうちの半分の1億円で株式を買って、
大体3%の利回りで年300万円を得て
配当生活をする。
これなら多くの人が実行可能じゃないか?
と思います。
もちろん、その種銭の2億円が
作れるかどうかは別にして(笑)
私はリスク許容度が大きい人(実は暴落を目の当たりにするまで自分のリスク許容度は分からない)でも、1億5千万円くらいの金融資産は必要なのではないかと思います。それで5000万円は日本円(無リスク資産)にしておいて、1億円を株式(リスク資産)に換えて、年300万円を受け取る、と。
(正確には金額ではなく、アセットアロケーションの比率で見る(金額は相場の変化や追加投資などで随時変動していくから))
年間配当金180万円くらいで妥協するとしたら……?
また、配当金300万の方を妥協して
その半分くらい。
年間180万円の配当金でも生活できるからOK
という場合はどうでしょうか?
その場合はイケますね。
年180万円くらいの配当金を得るためには
利回り3%とすると
大体6000万円の
株式を保有しないといけません。
これで180万円の配当金(分配金)
が得られます。
年間配当金
1億円:300万円
9000万円:270万円
8000万円:240万円
7000万円:210万円
6000万円:180万円
5000万円:150万円
4000万円:120万円
3000万円:90万円
2000万円:60万円
1000万円:30万円
総額1億
アセットアロケーション
株式(リスク資産):6000万円
日本円(無リスク資産)4000万円
リスク6:無リスク4なので、
ギリギリ一般的に持ち続けられる、
と言えるかもしれません。
だた、年収180万円と言うと
一般的な視点から見た
「普通の生活」ではない気がします。
一人暮らしをしていた場合、
相当な節約生活を
強いられることになるでしょう。
普通の生活、というより
最低限度の生活、ですよね。
1億円貯めて実現するのが、
最低限度の生活水準、ということです。
金融資産1億円の配当金で
普通の生活ができるなら
「憧れ」として語られるのも解りますが、
金融資産1億円の配当金で実現できるのは
最低限度の生活水準、です。
1億円と言うと
すさまじい金額に聞こえますが、
1億円で
配当金で生活するとなると生活水準は
最低水準になるのです。
無論、1億円という金額は大金です。1億円金融資産があれば、人生の安定度が高まるでしょう。しかし、それだけで配当生活(で、普通の水準の生活)をしようとすると、それは無理ということです。
配当金で生活するのは、ほとんどの人には無縁な話
で、今回の話って、
前提が1億円とか2億円とかを
持っていること、になるワケですが……
配当金だけで普通の生活が可能である
2億円……の金融資産を持てる人って、
日本人の何%いますか?
何なら妥協した
(最低限度の生活水準の生活が出来る)
1億円でもいいです。
1億円の金融資産を持てる人って、
日本人の何%いますか?
と考えていくと、
配当金生活、というのは、
ほとんどの人に無縁な代物だ、
ということが解ります。
優待生活で有名な桐谷さんも、
株式資産は4億円以上だとされています。
1億円あっても、無理……ということは
(数字から見える事実として)
ほとんどの庶民に、
配当生活(それだけで普通の生活をする)は
縁のない話ということになります。
1.前提の1億円という
お金を持っている人自体が極めて少ない。
2.総金融資産1億円の人が
1億円全額株式にして
(フルインベストメント)
持ち続けられる
割合は極めて低い。
3.1億円で大体の人が持ち続けられる
アセットアロケーションにした場合
配当金で可能なのは最低限度の生活。