資本主義、社会主義ほか、経済や市場について勉強します。
Contents
資本主義と社会主義
資本主義、社会主義の基礎
資本主義
土地、機械、工場など生産手段の私有が認められる。生産手段を私有し、労働者を雇って生産活動を行う者を資本家という。
国家は介入せず、自由競争が行われる(市場経済)。
利潤は個人に帰属し、利潤獲得を動機に生産が行われる。
生産手段を持たない労働者は、労働力を商品として売る。
企業経営者も、アレ、労働してますよね? 価値を自動生産している機械も、かつては経営者や労働者が作ったもの……つまり、生産は労働(供給)からしか生まれません。
なので、【生産手段を持つ】のが資本家で、【生産手段を持たない】のが労働者、という定義に違和感を覚えました。
社会主義
生産手段の私有は認められず、国の公有(国有)となる。
市場競争はなく、生産は国家の管理下で行われる。
利潤は個人に帰属せず、国家のもの。利潤目的での生産は行われない。
階級間対立がない平等な社会。
こっちもこっちで原理主義までいったら、みんな人形の世界ですね。シジマを唱えた氷川が理想としたすべてが静寂のもとに管理される社会。管理者にも一切の私欲がない(こんな社会、欲望の生き物:人間で、あり得るのかな~)。
資本主義・社会主義
資本主義には、利潤獲得動機として生産活動が行われるため「より売れるもの」を作ろうとし、それが「より良いもの」を作ることになる【場合もある】。一方、貧富の格差や、不況や恐慌を作り出す景気変動がある(失業)。
社会主義では、競争や利潤獲得動機がないため、(資本主義に比べ)非効率であったり生産(労働)意欲が低下したりする。文明の成長速度も遥かに劣る。
著書で書かれている資本主義は・・・資本主義の上に成り立つ、市場原理主義である。本来の資本主義は資本を投じて経済成長をする、というのが資本主義だ。
資本主義の歴史
資本主義の歴史を見ます。
アダム=スミス
【新自由主義】
18世紀後半に、イギリスで産業革命が起き、19世紀初めに資本主義が確立した。労働者を雇って生産活動を行う者を資本家という(生産してるのは労働者だけど)。アダム=スミス(1723~1790)は国富論にて、
国家は経済活動に干渉せず、すなわち自由放任し、市場での自由競争に任せておけば、神の「見えざる手」に導かれるように生産や消費が調整され、予定調和する。その結果、社会全体に利益がもたらされる。
と説く。
……これは、間違いです。このようには、なりませんでした。夜警国家、国内外の防衛(軍隊(自衛隊)と警察)の役割のみ国家が担い、暴力を禁止した上でその他の一切を自由にする社会。そいう、暴力が抑えられた状態でも、強者と弱者は生まれる。その格差など(下記の市場機構4つの問題)は、放置すればやがて社会が立ち行かないレベルにまで達する。
アダムスミスは、それ以前(16~18世紀)の絶対王政を批判することで生まれた。
ケインズ
【ケインズ主義】
イギリスのジョン・メイナード・ケインズ(1883~1946)は
不況や恐慌の原因は有効需要の不足にある。だから、政府が金融政策・財政政策を行い、有効需要を増やせば、供給も拡大し、不況から脱出できるし、完全雇用も実現できる。
と説く。アダムの国富論より遥かに素晴らしいと思います(社会全体としてね)。社会(供給)を構築するのに人力労働が必須(その割合が非常に大きい)段階の時代・文明に於いて、ケインズは最高峰だと思う(その先、にあるのは新自由主義路線ではありません^^;新自由主義路線に世界は行っちゃったけどね)。
ケインズの有効需要政策は、アメリカにて1933年、ニューディール政策で行われた。世界恐慌の対策として大規模な公共事業を行ったのだ。
ケインズ主義は第二次世界大戦後の世界で主流となった。しかし、石油危機(1970年代)以降、有効需要政策がもたらすインフレ、財政赤字の弊害が目立つようになる【インフレは過度でなければいいし、過度になりそーなら財政政策や金融政策で対応可能(それが政府)。財政赤字に関しては外貨建て負債でなければ何の問題もない】。
ミルトン・フリードマン
【新自由主義】
アメリカのフリードマン(1912~2006)は、ケインズ主義の行き過ぎた市場介入をやめ、市場機構や自由競争を重視した。政府は小さな政府とする。
1980年代、イギリスのサッチャー政権(1979~1990)、アメリカのレーガン政権(1981~1989)によるサッチャリズム、レーガノミックスと呼ばれた、規制緩和、自由化、行政改革が行われた(反ケインズ主義=新自由主義)。
ようはここで、アダムスミスの時代にまた戻ったということだ。フリードマンやレーガノミックスでは、サプライサイド経済学という、供給側を重視する学派が取り入れられた。これは主に減税で投資意欲を高め、供給を刺激するというものだ(投資というと株式投資が連想されるが、もともとは工場を建設するなど資本を投ずる行為を指す)。
(市民革命・産業革命(銀行制度確立))
【王様ヒャッハーの時代】
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19世紀=夜警国家
(格差による貧困・失業増大)
【商人ヒャッハーの時代】
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20世紀=福祉国家
21世紀現在、世界は主に、新自由主義(夜警国家・市場原理主義)寄りです。
社会主義の歴史
次は社会主義の歴史を見ます。
マルクス
【マルクス主義:共産主義の原点】
ドイツのマルクス(1818~1883)は資本論で
資本家は労働者が労働で作り出した剰余価値を搾取している。資本主義との発展と共に労働者はどんどん貧しくなり、階級対立は激化していく。それを解決するには、労働者階級が社会主義革命を起こし、階級対立のない社会主義社会を実現するしかないと語った。
マルクスに関しては2019年に勉強しました。
マルクスは資本主義っていうか市場原理主義の問題点を明確についていたと思います。新自由主義社会である現代(日本)社会にも通ずる問題提起です。
マルクス主義に基づき、ソ連や東ヨーロッパ、中国などは社会主義で建国を勧めた。しかし、競争意欲がないため、非効率と動労意欲が低下し、経済は低迷した。そのため各国は徐々に資本主義的要素を取り入れた、修正社会主義にしたり、社会主義を放棄し資本主義へと移行した。
中華人民共和国の発展
社会主義と資本主義が共存する一国二制度を採り入れアメリカに次ぐ、世界第2位のGDP国までになった。中国は1970年代後半から改革・開放政策を掲げ、経済特区を作り外国資本を導入する。市場経済も導入し、1993年以降、社会主義市場経済となった。イギリスから返還された(1997)香港、ポルトガルから返還された(1999)マカオを資本主義体制のままにした。2001年、WTOに加盟。
経済主体と経済循環
経済主体
商品(有形無形)の生産と消費の営みを経済活動といい、その取引される場を市場という(市場もまた有形無形だ)。そして、経済の担い手を経済主体といい、家計・企業・政府の3つがある。家計は(主に)企業に対し労働力を売って賃金を受け取り、商品を買って代金を払う。企業は労働力・土地・資本(工場など)を有し、利潤の最大化(要するに金儲け)をする(家計は効用の最大化を目指す)。政府は家計・企業から税金を受け取り、公共サービスを行う※。
※私は(政府の部分を)このように考えませんが著書にはそう書いてあります。
家計が自由に使えるお金を可処分所得といい
可処分所得=所得-直接税-社会保険料=消費+貯蓄
となる(このうち食料が占める割合をエンゲル係数という)。
株式会社
経営の元手となる資本金を、みんなが出資しやすいように小口の株式に分割し、少額からでも出資できるようにしている。2005年の会社法により資本金1円での会社設立も可能となった。
株式会社の最高意思決定機関が株主総会であり、取締役などを選出する。株主は1株につき1議決権を持つ。取締役会は株主総会の意向に添って業務を行う。
市場の仕組みと諸問題
市場で売買が行われると、需要と供給が一致し、価格の自動調節機能が働く。これを市場機構という(アダムスミスの「見えざる手」)。【著書では市場メカニズムを説明していますが、これはすべて省略】しかし、市場機構は問題点をはらんでいる。その問題点は、政府(国家)が修正する。
市場機構、4つの問題
大きく4つの問題点がある。
市場の独占
1つ目の問題が、独占・寡占の形成。1社が市場を支配することを独占、数社が市場を支配することを寡占という。この場合、自由競争が行われず、市場機構は働かない。
(市場に任せて放っておけば、独占寡占は必ず起こるので、市場機構自体、政府が手を入れることが前提とされた不完全なもの、といえます。市場に任せればすべて(世の中が)上手くいく=見えざる手、は妄想です。「絶対」と言っていいほど、起こりません。見えざる手が成されるためには、欲望の為に市場に参加している人間が、市場の勝者(金持ち)になった途端神のような精神状態になるという(ありえない・矛盾した)前提がないと成り立ちません)
多くの産業では、大量に生産するほど利潤が増大する規模の利益(スケールメリット)がある。よって企業は利潤追求により、巨大化を目指す(ここで寡占が生ずる)。寡占市場では市場機構が働かず、企業によって価格が管理され、消費者は不本意な値で物やサービスを買わなければならなくなる(安価で価値を提供できる企業が出てくれば、この状況を打破できる、と単純に考えてしまいがちだが、それは余程のイノベーションをもって成さなければ困難だ(大量生産できるから安価で提供できるワケで)。
一度決定的に開いた力の差は、企業努力で埋めるのは極めて困難であり、政府の介入によってしか是正されない。
一企業が利潤を蓄積して大きくなることを資本の集積といい、複数の企業が結合して大きくなることを資本の集中という。資本の集中にはカルテル(企業連合)、トラスト(企業合同)、コンツェルン(企業連携・結合(親会社、子会社、孫会社の形))がある。
トラスト(同種の企業合併)の進化系として、現代ではM&A(買収・合併)を繰り返しコングロマリット(複合企業)として巨大化した、多国籍企業(二か国以上で活動する)がある。多国籍企業は、更に進化すると、グローバル企業となる。
よって、国家は独占禁止法(1947)を制定し、少数企業の独占を防止する。
独占禁止法 第一条
この法律は、私的独占、不当な取引制限及び不公正な取引方法を禁止し、事業支配力の過度の集中を防止して、結合、協定等の方法による生産、販売、価格、技術等の不当な制限その他一切の事業活動の不当な拘束を排除することにより、公正且つ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇傭及び国民実所得の水準を高め、以て、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする。
引用:公正取引委員会
外部不経済(公害など)
2つ目の問題は、外部不経済である。これは工場から排出された水銀がもとになった水俣病のように、経済活動が市場外に与えるマイナスのことだ。大気汚染、水質汚染など環境破壊が主なものとなる。これも政府が対応し、公害が出ないよう企業経営を修正(規制)する。
公共財の不足
3つ目の問題は、公共財の不足、である。企業は原則、利潤追求の組織のため、お金になることしかやらない。しかし社会には、道路、上下水道、図書館、公園などのインフラや警察、消防などが必要である。これらは市場原理に任せると、非常に不安定なものとなり【①金にならないから事業自体が行われない、②企業がサービス料を吊り上げたら国民みんなが利用しにくくなる】、など、社会全体で見た文明水準が低下する(救急車や消防車は有事に無料で呼べるが、これが1回10万円とかだったら?10万円すらない世帯って意外と多いはず。火事とか起きたら延焼しそうだよね)。よってこれらは政府が提供する。公務員として政府が雇ったり、公共事業で行ったりする。
格差と景気変動
4つめの問題は、格差と景気変動(不況・恐慌)による失業問題である。自由な競争の結果、資本主義(正確には市場原理主義)経済では必ずこれが発生する。この場合も政府が富の再分配や失業対策、また景気を改善する政策をとり、対処する。
私個人の感覚でいえば問題の大きさは、4>1>3>2、だがどれも大きな問題で、この4大問題がある以上、市場機構(とやら)は、基盤としては良いけど、社会機能としては不完全だといえる。
1,3,4はこちらの本↓でも同じ主張がありました。
インフレーションとデフレーション
物価が継続的に上昇することを、
インフレーション、
下落することを
デフレーションという。
インフレの要因は、2種類ある。1つめが需要側に要因がある、ディマンド=ブル=インフレーション(需要インフレ)。2つ目が供給側に要因があるコスト=プッシュ=インフレ(費用インフレ)である。ディマンドブル型インフレは需要が供給を上回った時に起こる。これには、公共事業などの財政インフレや銀行による融資拡大の信用インフレがある。コストプッシュ型インフレは、生産コスト、すなわち費用増大で起こる。これには、石油や原材料など輸入品値上がりで起こる輸入インフレ(2022,2023日本で起こっているインフレ要因の主なもの)、生産性の低い中小企業が賃上げして起こる生産性格差インフレ、寡占市場で価格低下がされないために起こる管理価格インフレなどがある。
前者を良いインフレ、後者を悪いインフレと考える。
=クリーピング=インフレ
(↑経済的に望ましい状態)
年10%を超えるインフレ
=ギャロッピング=インフレ
超インフレ
=ハイパー=インフレ
国民所得
国富とは?
これまでに国が蓄えてきた富。
なお、金融資産(株・預金・債券など)は国富に含まれない。なので、国富とは土地・建物・機械などの非金融資産(実物資産)、対外純資産。
誰かの金融資産は誰かの負債であり、国全体としてはプラマイゼロになるからである(!)。
国民所得とは?
1国の経済活動で
1年間に生み出された付加価値の合計。
例外で、農家の自家消費分、持ち家の家賃相当分は特別に算入される。
国民総生産をGNPといい、国内総生産(GDP)は、GNPから外国からの純所得を差し引いたものになる。
GDP=そのうち(日本)国内で生み出された価値
前年と比較したGDPの変化率が経済成長率(名目経済成長率)である。これに物価変動を考慮したものを、実質経済成長率という。
三面等価の原則
三面等価の原則とは、
3種類の国民所得の合計が同額になるよって話。
3種類とはそれぞれ、
生産国民所得、分配国民所得、支出国民所得
である。
分配国民所得:雇用者報酬、財産所得、企業所得
支出国民所得:民間消費、政府消費、民間投資、政府投資、経常海外余剰
近年の金融政策(自由化の影響)
1980年代より世界各国で(イギリスのサッチャーやアメリカのレーガンなどの)新自由主義が推し進められ、日本の金融政策・金融業界も自由化の波が襲った。それまで大蔵省の保護や規制によって護送船団方式で守られていた日本の金融機関は、それらの保護・規制がなくなり自由化が進んだ。
社会が段々と新自由主義に染まっていった、と見られる。
1994年金利自由化により預金金利が自由化
1996年、金融ビッグバン
1998年、金融システム改革法
などにより、金融業務も自由化された。
金融業務には、①銀行・証券・保険の業務分野規制、②独占禁止法改正により持株会社会禁、③株式売買・銀行振込・外貨交換など手数料の自由化、④外国為替業務の自由化、などがある。
★勉強を終えての感想★
資本主義と社会主義、どちらが良いかと言うと、基盤は資本主義が良いと考える。ただし、資本主義には市場原理が根底にある(プラスでもありマイナスでもある)ため、これのマイナス部分を国家が上手くカバーすることが社会として機能していく上で必須であると考える。具体的には、景気変動に併せて政府が国民を支援する、市場競争に負けた弱者を救済する、保有資産の格差が過度にならないよう調整する、などである。