日本の不況はデフレ経済にあった

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奇跡の経済教室という

社会経済とは?
お金とは?

について書かれた経済書があります。


この本を私は
1回読み


2回、3回読み



今回(当記事執筆時は2022)4回目読んだ。
そして中野剛志さんが、すごいことを認識させられました。2018年くらいに書かれたのに、コロナ不況以降の現象まで当たっているのです。




バブル崩壊後の不況を、政策ミスにより未だに脱却できない日本


戦後、ボロボロだった日本は朝鮮特需(朝鮮戦争)に端を発し、経済は上を向き、やがては高度経済成長へ。1980年代にはバブルとなり、日本は1991年にバブルが終わりました。

バブルとは経済が活性化し過ぎたあまり、
投機熱も高まり、数字が数字を呼び、
最後は弾ける現象です。

バブルとは??
①経済が活性化する
②株式や不動産などの価格が騰がる
【ここまでは正常な経済成長です】
③値上がりした株式や不動産を多くの人が見て「もっと騰がるかも? 今買えば儲けられる!」と思い、我先にと買いまくり、更に価格が騰がります(ここで適正価格(供給能力)を超えます
【これがバブル】
④そのうち底値で買った人間とかが「あれ? これ価格騰がり過ぎじゃね? 売り抜いておく?」と思い始めます。
⑤何か(衝撃的な事なら、何でもいい)がきっかけになり、多くの人が一気に値上がりした資産を売り始めます。その売りが更なる売りを呼び、暴落が起き、資産価格は適正価格(供給能力)より下がります
【これがバブル崩壊】





バブルが崩壊すると景気が悪くなります。
景気が悪くなると言うのは、
世の中にお金が循環しなくなり、
消費が失われ、最後には供給が失われます。

企業は倒産し、労働者は解雇され、
残った企業も利益を(バブル崩壊で作った)借金返済に回します(借金返済したお金はこの世から消えるので、供給と交換で世にお金が回りません)。


これが、
デフレ不況です。

デフレ脱却は政府にしかできない


で、このデフレ不況と言うものは、民間(企業と家計)の努力では脱出できません。理由は投資と消費、つまり需要が抑えられているからです。企業は儲からない(バブル崩壊の(資産価格暴騰で儲けようとした)借金を返すので精一杯=借金返済は消費ではない)ので、生産活動を抑えます。すると給料が下がり家計の消費が下がります。するとさらに企業は儲からないので生産活動を抑えます。これがデフレスパイラルという悪循環です。

なので、デフレ不況
政府しか脱出できません。

具体的には政府がお金を造って、
社会に流し、民間の需要を促す
のです。

金融政策と財政政策。

この行為は、財政政策であり、財政支出財政出動などと呼ばれます。これをコロナ不況で経済が停滞した時に、世界各国、特に世界最強のアメリカがやりまくってました。私は唖然としました。絶対正義だと思っていたアメリカがお金を造って社会に流しまくっているのです。

これを、
日本政府は十分にやりませんでした。
(多くの人がコロナでの保障は10万円の特別定額給付金のみ、ではないでしょうか?)
日本の財政政策不足は、コロナ過に限った話ではなく、1990年代後半からずっとです。
なので、デフレ不況が長年続き、日本社会は諸外国に比べて成長せず、国民は長きに渡り地獄を味わうことになったのです。

日本が地獄の原因はデフレである。
ただデフレは経済上起こるので、
我々が今味わっている地獄は、
そのデフレ対策を十分にしなかった
政府の責任、政府のせいなのです。



結果、物価上昇率が低水準で抑えられ、
経済成長率(GDP成長率)
世界でも非常に低い水準で
この30年くらいやってきました。

デフレとは、供給>需要の状態


需要、つまりお金がないので、
みんなものを買わなくなります。

消費しないことが「善」になってきます。
「節約」賞賛される社会になるのです。

まさに、私がそうでした。
典型的なデフレマインドな人でした。

実際に、1000万を持っている私が、1000万の貯金があったら安心できるか? について語ってみたいと思います。
32歳で1000万円貯めたくろやぎが、自分の体験を交えて30歳で1000万円貯金する方法を語ります。
年収が200万の方でも、10年で1000万円を貯金する方法を考えてみます。

人一倍デフレマインドが解るつもりです。

私も以前そうだったので、将来に不安を覚えて、消費を減らすことを良しとして考えてました(ミクロでマクロでも)。デフレ社会では、物やサービスよりも、お金の方に価値があるので、消費をせず、ひたすらお金を貯めました。


このような社会だと、物やサービスが売れないので、企業は事業投資しません。=企業が成長しにくい=経済が成長しにくい。

投資とは数字で数字を増やす行為ではなく、先にお金を使って、工場を建てたり、新製品・テクノロジーなどを開発し、結果的に先に使ったお金よりも多くのお金を儲けようとする行動です。

しかし、社会の消費が減っている、つまり需要(お金)がない状態では、企業は投資に二の足を踏みます。投資して製品を造っても、儲からないから。結果、新製品が開発されなくなったりお店が新たに出来なくなったりするので、社会の成長度を下げます(悪化すれば成長度……どころか、停滞、どころか衰退します)。

デフレスパイラル


消費者である我々も買い物を控えます。生きていくために最低限のお金だけ使うようになり、家を買ったり車を買ったりするのを極力控えます。要はドケチになるのです。お金を使うことは効率が良くない。お金を貯める方が効率が良い。という世の中になります。もう十分なってるでしょう。「いかに金を使わず楽しく生きるか?」みたいな・・・自分自身はもとより【社会的にも不健全な】思想が「あたかも素晴らしいもの」としてもてはやされます。




悲しいかな、そうして生きた先には、さらなる貧困が待っているのです(が、そこまでは誰しも考えが至りません。99%の人が目先の節約しか脳内に存在しません)。そういう社会では、物やサービスが消費されないので、消費されないものは、段々造られなくなるからです(あなたが企業経営者なら、売り上げのない工場があって、今後も売り上げの見込みがなければ・・・工場を閉鎖しますよね。デフレ不況が長引く日本では、お店が閉店したり規模が縮小したりということは、すでに目にしてきているハズ)。

つまり、世の中の富が生産されなくなります。本当に、生存に必要なモノしか生産されなくなります。企業も節約志向、コストカットで従業員に払う給与を減らす為、可処分所得も下がります。最終的にはそれ(生存に必要なモノ)もなくなっていき、自国の需要が自国の供給で満たせなくなり、他国依存になります(もちろん他国は無償で助けてはくれないので、対価を要求されます。「何らか」のね)。
これって文明の衰退ですよね。





皆が節約したら、貴方が働いている企業の商品(サービス)も売れなくなります。そしたら、あなたの給料はどうなりますか? 少なくなります。給料が少なくなれば、節約して……これがデフレスパイラル

考えたら(言われてみたら)
すぐ解ることなんですが、
多くの人は、これを考えることすら
できません。





お金の価値が上がるのは社会的に問題


個人的には嬉しいですよね。
お金の価値が上がると多くのものが買えます。
個人的には嬉しいです。
そしてそれはお金を多く持っている人ほど、
そうでしょう(闇深)

しかし? それって結局
「一時的な」悦びです。
「短期的な」喜びです。






お金の価値が上がると、みんな、物やサービスより、お金を欲しがります。消費を我慢してまで、お金を集めようとします。この行動がそのまま、消費減になります。消費が減ると、企業の儲けが減り、企業の儲けが減ると、我々の給料が下がります。給料が減ると、一層消費を減らし、後は繰り返しです。消費減はゆくゆくは、生産減となります。

企業も銀行からの融資(銀行預金の創造)を受けなくなります)。個人も住宅や車など、大型の消費を控えます。ローンを組まないので、借金(銀行預金の創造)がされません。

インフレは、供給<需要の状態


これが、経済的には正常なのです。
「ややインフレ」がね。
行き過ぎたら、増税してやれば
インフレは普通に止まります。
(また所得税や法人税には、自動安定装置、ビルトインスタビライザー機能があります)

「ややインフレ」の状態だと、お金の価値が少しずつ減少します。よって人々はモノやサービスを買い求めます。需要が見込まれるので、企業も投資し、借金し、事業を拡大します。そうすると労働者の賃金も増えます。労働者は住宅のローンを将来を悲観することなく組めるようになります。「いかにお金を使わないで楽しく生きるか?」みたいな自分で自分の首を絞める行為は一部の変わり者以外しなくなります。そしてそれ(ややインフレ)が経済的に正常な社会です。


経済成長は、
インフレを前提にしているのです。



原価高騰による悪性インフレに注意


中野さんは、2022年のコロナやロシアウクライナ戦争の影響により発生した、原価高騰型インフレコストプッシュ型インフレ)を既に想定しています(著書は2019初版発行)。インフレには正常なインフレ悪性のインフレがあります。正常なインフレは上記のように、物価と我々の給料が同時に上がり、消費と投資が拡大する現象です。悪性のインフレ(2022年の日本のインフレ)とは、物価だけが異常に上がっていき、給与は大して上がらない場合などを指します(給与が多少上がっても物価がそれ以上に騰がる場合も含む)。この原因として、原料価格高騰によるインフレがあります。要は資源の生産が減ったり、輸入が減ったりすれば、資源は希少化するので、値段が上がります。しかしそれと経済成長は一切関係ないのです。

つまり、インフレだから良い悪い、
のではなく、

「どのような経緯で」
インフレになっているのか? 

が重要なポイントなのです。




また、原料価格低下も良いとは限りません。国内生産性向上(経費削減ではなく)によるコスト低下ならまだしも、海外との競争に負けて(政府が国内企業を保護しなかった場合を含む)、海外のより安い商品が国内の需要を寡占した場合、消費者の立場では物が安く買えて嬉しいですが(一時的な嬉しさ)、その売り上げは海外企業に渡ります。国内企業の売り上げがないということは、我々労働者の給料が減ると言うことです。国内では倒産や失業が起こり、海外企業だけがウハウハになります。益々安い物しか買えなくなり、海外企業の寡占を強めます(市場の支配ですね)。このやり方は、様々な分野で主に私たちの主人国()であるアメリカ様にメチャクチャやられてます。


合成の誤謬


いわゆる、マクロミクロが違うってやつですよねこれは。
これは中野さんではなく私の意見ですが、マクロミクロの問題こそ人間社会の業、といっていいレベルの問題ではないでしょうか。いつだって人間社会ではマクロミクロが戦っているのです。歴史上を見てもね。ミクロのみの世界って、ただの弱肉強食。超ムズカシイ問題ですが、話が逸れるので今回は置いておいて。


さて合成の誤謬

社会(国家)全体で考えたら
Aが良いんだけど、個人で考えたらBが良い。
結果、みんなBを選び、社会は悪化する、
ということです。





もっとも解りやすい例が
お金を使うか、使わないか、です。

社会国家全体、マクロとして考えれば
お金を使った方がいいのです。
消費が、投資を呼び、供給を生むのですから。

しかし、個人的には、ミクロでは
お金は使わない方がいいのです。
ミクロで考えたら消費せず、貯金したり、株式投資したりして資産を増やす方が、賢いのです。非常に身に覚えのある考え方です。

庶民が資産家の真似事をやったところで、その効果はたかが知れている。

衰退国家であり、将来が不安。実質給料が下がり、将来上がる見込みもない。解雇の恐れもある。年金や社会保障費も心配。となれば個人レベルであればお金が無くなれば貧困に落ちてしまう。となれば、お金は使わずに貯金をした方が賢い、良い選択なのです。企業も儲かる見込みがないのに、設備投資などしません。儲かるどころか投資したお金を回収できず、赤字(一時的ではなく事業失敗として最終的な赤字)になるでしょう。





このように企業や個人が、不況を乗り越えようとして取った「個人的には適切な行動」=節約や貯蓄が、ますます消費や投資を弱め、デフレを深刻化させ、不況を延命、悪化させてしまうのです。

しかし、民間(企業と個人)にお金使え!といっても、無理でしょう。なにせ、お金が入ってこないのだから。自分や自分の家族が貧困になる(最悪死ぬ)のを覚悟でお金を使いまくる人は(浪費家やギャンブラーなど除き)基本はいません。

なのでこの問題は、

政府が解決するしかないし、
政府にしかできないのです。


アメリカはちゃんとコロナの時に(日本より遥かに大きな)財政出動してましたよね。これは、古くは世界大戦前にケインズが提唱したことなのです。

デフレーションの対策


今の日本はデフレです。

半導体や石油などの原料が値上がりしたために起こるコストプッシュ型インフレというものは、悪性のインフレであり、消費と投資の活性化による正常なインフレではありません。完全に別物です。

ということで、
本来のデフレ対策を取ることで、
日本社会は経済成長にとって最適な
「ややインフレ」になることができます。

民間任せではなく、
政府が自ら需要を増やします。

まず金融政策
これは金融緩和を行い企業や個人がお金を借りやすくすることです。具体的には金利を下げます。家のローンが35年払い2500万だったとして年利0.5%と年利1%だったら、どっちが家を買いたくなりますか?ってことですね。
これは2023現時点、日銀が既にやってくれています。

金融政策と財政政策。





次は主に財政政策
いくつか需要創出の案を出します。
消費税を減税する。消費税が減税されれば、消費が増えます。今は10%なので、100万円のものを買えば10万円消費税が+されます。これがなくなれば、10万円分他の商品を買えます。
次に社会保障の拡充。負担ではなく、貰う方です。例えば、失業保険の額が今の倍になれば、倍の消費が見込まれます。実際には貰わないうちに就職する人も多いので倍にはならないでしょうが、とにかく増えることは増えます。
そして、公共事業です。経年劣化した道路や水道管などを修理したり、新たに造ったりすれば、建設業者に政府からお金が入ります(お金が入らないと工事しないでしょw)。そうなると、建設会社の従業員に給料が払われ、そのお金が別の所で消費されます。消費が増えます。
公務員を増やしてもいいです。この場合も上と同じです。


しかし、当然次の疑問が出てきます。
私も2019年にこの本と出会うまでは疑問を抱いていました。

消費税を減税したら、税収が少なくなる。
財源が無くなるから一時しのぎじゃないの? 
社会保障費を増やすと言っても、そのお金は?
公共事業をすると言っても、そのお金は?
公務員を増やすと言っても、そのお金は?

つまり、結局全ては「金」の問題。

お金はどこから持ってくるの?
ってことです。

この問題って無茶苦茶残酷・・・をこえて残忍です。世の中の人って「余裕があれば他者を助けたい」と思う優しい人も結構います。しかしそんな優しい人たちでも「余裕がなければ仕方ない」と考えます(つまり弱者などを切り捨てても仕方ないってこと))。
しかし、実は、

この余裕とは
「供給」のことで
「お金」のことではない


のです。

しかしほとんどの人は
「お金」だと考えています。
つまり私たちは、
必要のない縛りを敢えて作って、
敢えて苦しむドMゲーム
」をしているのです。


公共事業も、無駄遣いの温床として国民から敵視されてきました。しかしその理由は、【財源論で考えていたから】、に他なりません。


お金はから生まれます。

どっかから
持ってきてるのではありません。
将来世代の負担額を
前借り
しているのでもありません。






社会主義的な思想?


政府が市場に介入する社会を、社会主義と呼ばれることがあります。反対に政府が市場に介入せず、市場任せにするのを新自由主義市場原理主義と呼びます。
しかし、社会主義と言われたら、資本主義と対になる、国家が消費や生産のすべてを管理する、旧ソ連のようなイデオロギーを抱いてしまいがち(そう思う人もいる)ですが、

それは違います。

誰も、社会主義国家にしろ
とは言ってません。


1か0,白か黒、
などどちらかに極端に偏れ
と言っているのではないです。

民間で解決できないから(ややインフレになるまでのあいだ)政府の介入を大きくするだけで、基本的には市場原理にのっとった資本主義であって(資本主義が良いと私も考えています)社会主義ではありませんデフレ時(不況時)には、大きな政府、手厚い福祉、労働者の保護、重要産業の国営化を行わないと、経済が立ち行かなくなる、と言っているだけなのです。実際、デフレ不況であってもなお頑なに、新自由主義を貫いて(民間競争だけで解決を目指し)貧国への道を歩んでいる国が、他でもない、我々の住む日本なのですから……。




私の予想ですが、市場原理に走り過ぎると、一部の金持ちが大多数の貧乏人の命を権力(金)でもてあそぶようになり【アメリカ的】、国家主義に傾き過ぎると小説のバトルロワイアルみたいな(これもまた、一部の権力者が大多数の国民の命を権力(警察の暴力など)でもてあそぶ)ディストピアになります【中国的】。
民主主義も衆愚政治といわれますが、民衆に生活の安定知性(知識)があれば、最も理想郷に近くなる気がします。(例えばヒトラーのような)妙な思想が台頭する時って、決まって(何らかの要因によって)民衆の生活が厳しくなり誰もが精神的にも肉体的にも余裕を失くしている時だと思います(今の日本は結構ヤバいと思います)。


デフレなのに、インフレ対策し続けた国


デフレインフレ時の政府対応は真逆です。

引用:奇跡の経済教室

我が国は、デフレ時に、金融緩和以外はインフレ対策をしているので(日銀だけが正しく政府は間違っている)、更にデフレが深刻化し、日本が貧困化しているわけです。

金融政策と財政政策。

デフレ時
小さな政府→需要がないのに供給自由競争が激化
薄い福祉→国民の貧困化、消費・投資の低下
労働者を保護しない→失業者増加、消費・投資の低下
重要産業の民営化→国内企業に力がないので、外資にのっとられる



1996年、橋本内閣は、バブル崩壊後デフレ不況のさなかに、「構造改革」を行いました。これは、公共投資など財政支出削減(緊縮財政)、消費税増税、規制緩和、民営化、グローバル化、などインフレ対策でした。なので、ますますデフレが加速。さらに2001年、小泉政権がこの「構造改革」を受け継ぎ、徹底させました。日本はさらにデフレになりました。



企業にとっての合成の誤謬


なんでこんなアホなこと(デフレ時のインフレ対策)をずっとやってきちまったのか。これに関し中野さんは、企業の合成の誤謬を挙げています。企業は不況時でも生産性を向上させようとします。それが企業ですからね。しかしこれを政府が支援(つまり規制緩和による自由競争激化)してしまうと、ただでさえ開いている需要と供給のギャップ、デフレギャップがますます開きます。買うお金はないのに、物だけが作られるのです。
また需要が限定的なため、一部の勝ち残った企業しか利益を出せません。消費者にお金がないから、買われる数=儲けが限られてるんですね。で、政府がこの傾向を政策で後押ししてるので、負け組企業はどんどん市場から淘汰されていきます。

こうなると、何が起きるか? 


失業者が増えるのです。その失業者は失業してさらにお金がなくなったことにより、一層消費を控えます。となると今勝ち残っている企業の商品も買われなくなり、売り上げが下がってコストカットから失業者が出て、という悪循環に入ります。
デフレ時に競争をさせてはいけない(そのような政策を強いてはいけない)、とはこういうことだったんですね。





経済と企業経営を同じに考えてはいけない


理由は簡単です。
一企業で考えれば無駄を排除し利益のみを追求した方が売り上げは上がるでしょう。しかし社会全体で考えたら、無駄を排除した時に、企業の無駄と断ぜられた人が失業します。

その人たちは会社からは消えますが
社会からは消えない


のです。そうなると彼らは消費を減らします。供給はしないけど、消費はする人になるんですね。その消費も(失業して金がないので)生きる最低限しかしません。つまり全体での供給と消費量が減るのです。





政府の無駄遣いをやめろ、は間違い


我々の脳内に社会には一定量の貨幣しかない
という頭があるため、政府に無駄な金を使うな!
と言ってしまいます。
政治家もそのような主張で支持を集めます。

国民が節約を強いられる時に、政府が無駄遣いをしてどうする!と政府の需要創出を批判します。先に書いた道路や水道の整備などをしようとすると、「金を使うな!」と国民から批判されるわけです。こうなると、道路が造られず交通網が発達しない。インフラは老朽化して事故が発生しやすい、また維持できなくなる。公共事業がなされることによって儲かる企業に金が流れず、当然そこで働く労働者にも金が流れないので、その人たちは金を使えず、連鎖的にその他の産業も儲からない。と、実は

我々は我々にとって
良いことが一つもないことを、
気持ちだけで主張してしまっている


のです。




公務員の給料を減らせ!公務員を減らせ!も同じです。失業した公務員は無職になり消費を減らします。またコストカットで、公共のサービスを利用する時にサービスを提供する公務員の数が減ってしまっている、または非正規化されているため、我々が十分なサービスを受けられなくなります(結局、無駄を減らせ!の多くは【私たちの】損として返ってくるのです)。

役所に公務員が10人いて1人が怠け者、残り9人がそこそこ働いていて合計で100のサービスを産み出していたとします。これを「無駄をカットしろ!」と公務員を3人減らしてしまえば、残りの7人は以前よりも頑張るかもしれませんが、10人いた時の100のサービスまでは生み出せず、それが80になってしまう。こういうことが、もう現実に起きてしまっています(人数が足りない、派遣に代わっている、などで供給能力が落ちる)。

公務員じゃなくても、レストランのキッチンとホールで考えてみたらもっと解りやすいですね。客に満足のいくサービスをする為にはある程度の人数は必要です。スペシャリストだけ残しても、そのスペシャリストも、1人で普通の人3人分は絶対(物理的に)動けません。結果として我々が受けるサービスの質は低下するわけです。ワンオペ問題とかありましたよね。あれ(過度な労働量を低賃金でこなす労働者と、その低下したサービスを受ける客)が、新自由主義の犠牲者です。







何より、私自身が低賃金重労働の犠牲者です(それも重度の犠牲者です)。私は自分のこと(自分が過去に大きな被害を受けたこと)なので、この問題に対してこれだけ関心があるんだと思います。

生きるために死ぬ。そうやって生きてきた。


デフレ時の策としては、
最善の策:必要な物を造る公共投資
次善の策:必要でないものを造る公共投資(これでも一応金は回るだけマシってこと)
無策:公共投資をしない
最悪の策:公共投資の削減

となります。

日本は「無策」と「最悪の策」
ずっとやってきたのです。





公共投資は無駄ではなかった


バブル崩壊直後、90年代前半頃まで公共投資は行われていました。しかし90年代後半に減少、2000年代にはさらに減りました。日本が不況に突入したのは1998年からで、ちょうど消費税が5%に騰がった時です。その90年代でも必要水準よりも低い公共投資しか行われていませんでした。


安全な国家社会が、経済成長の礎となる
我々は個々が(金儲けして)幸せになるため、他人の需要を満たし、結果的にそれが社会の発展に繋がります。この金儲けのために、単独でサービスを提供していては効率が悪いため、資本を投じ(工場建設など)、生産性を高めます。そして皆が投資できる環境というのは、そこに安全(きちんとした国家)がなくてはならないのです。例えば投資をして工場を建てて生産性を上げようとしても、そこに安全がなければ、無法者に工場を破壊されたりします。よろしくない政府の場合、私財を収奪されたりもします。そういった状況下においては人は投資(長期的な金儲けの計画)をしないので、結果、社会の生産性は向上しません。






日本社会の不幸の正体は、デフレ。日本社会に足りてないものは、需要。
バブル崩壊後、日本はデフレに突入したが、日本政府は今日までずっとデフレ対策ではなく、インフレ対策の政策を行ってきた。
社会の本質は【お金】ではなく、【供給力】である。
時間差のある取引では、信用と負債が発生する。
お金は、貸し出し(支出)によって作られる。




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