ファルマゲドンを読んで

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製薬業界を暴くための読書、3冊目。
何でこんなことしてるのかと言うと、主に小説の為です。何の知識もなかったら、悪の製薬会社を描こうとしてもありきたりな「ヤバい薬を創っている、マッドサイエンティストがいる会社」程度しか思い浮かばないでしょう?^^;そして悲しいことに、悪の製薬会社を描こうとした時、ヤバイ薬を創ってる研究所なんてモンを登場させるまでもなく、現実世界で世界トップクラスである巨大製薬企業の裏側をただそのまま描けばいいだけ、という・・・・



さて、著者はデイヴィッド・ヒーリーという、精神科医です。また大学教授(専門は精神薬理学・精神医療歴史)でもあり、英国精神薬理学会の元事務局長でもあります。抗うつ薬の専門家であり、向精神薬開発にインサイダーとして関わり、医療訴訟の過程で治験の生データに接した経験を持つ方です。前二冊は製薬会社の臨床試験マーケティングの闇を暴露していましたが、今回はそれもあるけど、特に精神病(鬱病)に関して知見の深い書物になるようです。


著者ブログ

ファルマゲドンとは、ビッグファーマ(巨大製薬企業)とハルマゲドン(最終戦争)をくっつけた造語です。


著者もまた、製薬業界とそれに直結する医療の凋落を嘆く一人です。
かつて製薬業界は疾患を治癒する効力のある薬を販売して収益を得ていた(本来こうであるべきですよね?)。だが今は、巨額の収入源は、医薬品が殆ど効かないような慢性疾患を作ることによって生まれている。消費者の健康よりも、薬を売る為の病が活力を保ち続けることに腐心する製薬会社の金儲けの為に、我々は薬を飲んでいるのだ。


2010年、医薬品の世界市場規模は、9000億ドル(90兆円)を超えた。売り上げの大半はアメリカであり、そのほとんどが命にかかわる治療ではなく、慢性病の管理に関わる医薬品の売り上げであった。

なぜ製薬会社が慢性疾患を好むのか、そして慢性疾患を好んで作り出そうとしているのか、解りますか?? それは、慢性疾患=ずっと薬を飲み続ける=ずっと薬が売れ続ける=ずっと金が入り続ける、からです。

癌治療薬を別にすれば、最も売れたのは抗うつ剤、気分安定剤など中枢神経に作用する薬。次点がコレステロール低下薬であった。

この巨額の出費が、我々の命を救ってくれたり、生産性を回復させてくれたりするのなら、正当化されるだろう。しかし、ほとんどの場合、医師たちが例えばコレステロール値の低下について語る時、彼らは疾患の治療をしているのではなく、リスク管理について語っている。私たちの命を救う話ではなく、一生涯続く治療を提供する話をしている(穿った言い方をすれば、製薬会社の長期金儲け計画の話だ)。製薬業界のマーケティングは、我々患者の精神までマインドコントロールし、「この薬がなければダメなのだ」「この薬と共に生きていくのだ」という観念を植え付け、目的の長期的に薬を売って利益を得続けるのだ。こんなの、製薬会社以外誰も幸せになっていないではないか。
更には、こうした製薬会社の利益の為に、ずっと薬を飲み続けることが、様々な副作用に繋がり、薬剤誘発性の傷害は、入院患者の死因、第四位になっている、先進国のみで考えればダントツの第一位になるだろう。すごく簡単に言えば、製薬会社の金儲けの為に、我々は薬を飲み続け、その副作用によって、人生を壊され、命を奪われているのだ。

製薬会社の金儲けの為に、医療業界、ひいては我々の健康(人生と生命)が利用されているのが現実なのだ。

*本記事は著書の要約ではなく、著書を元に私なりの解釈で文章化しています(解釈が間違っている可能性アリ)。内容の取捨選択や解釈は私の恣意(私見)が多分に含まれており、この記事を読む=本書を読む、にはなりません(~だろう。~と思われる。という記述もそこそこあり、そういうのは著者中で自分はほぼこうだと考えるが100%の証拠はない、って部分でしょう。そういう部分は本記事では意識して省いてます)。また本書は400ページの大書であるため、本記事に記載される内容はその一部に留まります。本書の内容を正確に知りたい方は、本書をご購入下さい。ココの解釈(個人的意見ではなく著書の解釈が)決定的に間違ってるよ、という部分があれば伝えて頂ければ幸いです。






『医療』から『マーケティング』へ


医学、薬学商売の道具になった。
製薬業界が現在マーケティングに費やしている予算は、アメリカだけで年間300億ドル(3兆円)になる。2002年、ファイザーは上昇したコレステロール値の治療薬としてスタチン系薬剤を発売するため、マーケティングに12億ドル費やした。だがスタチン系薬剤が医療に果たす役割はごく限られたものであり、コレステロール値は薬を服用しなくとも食生活の改善などで低下することが出来る。しかしこのように、潤沢な資金にバックアップされたマーケッターは、どんなもので売ることが可能なのだ。


製品の差別化を決定するものは、実際の製品に備わる違いではなく、ブランドの知名度なのである。つまり、マーケッターが競合相手よりどれほど効果的に製品に充足感を込められるか、そして潜在的な客にどれだけメッセージを浴びせられるかにかかっているのだ。病気は製薬会社に宣伝され、販売される。医師も患者も、治療のガイドラインを策定した専門家までもが、その治療法が、以前の治療法よりも優れているかどうかすら、知らない(優れていない場合も多い)。


第二次世界大戦中、国家は医学研究に多大な投資を行った。それが科学者と大学と製薬会社の間に提携関係をもたらすことになった。この提携は真に効果的である、抗生物質やコルチゾン、利尿薬、降圧薬、血糖降下薬、向精神薬、癌の化学療法までも生み出すという素晴らしい結果をもたらした。よって、これらは後々まで真に役立つ医療を提供できると思われていた。しかし(現在)、そうはならなかったのである。


特許法の適用基準は緩くなり、医療の世界は科学者たちが新たな分子ツールを活用して限界を打ち破っていく領域ではなくなった。科学者たちに研究成果に特許を取得することを奨励するバイドール法(ビッグファーマ記事にも出てきた)が1980年に設定されて以来、科学者たちは医学の知識や医療を進展させるよりも、自ら特許を申請して新興企業を立ち上げることに熱をあげた。製薬会社もまた医学の進展には興味がなく、唯一関心があるのはそれらが金儲けに利用できるか否かのみであった。
1958年から1982年までに製造された抗うつ薬は、主に重い気分障害の治療に使われていたため、その販売高は、大したことはなかった。しかし、大手製薬企業は、金儲けに舵を切った。すべての不安症には鬱病が隠れている医師を説得し、新たな薬剤として選択的セロトニン取り込み阻害薬(SSRI)』を、抗うつ薬だけでなく、進歩した治療法であると思い込ませたのだ。

病気を作る、というと、科学者たちが研究室で新たな病気を創出する光景を創造するが、実はほとんどの場合、そうではなく、我々が日常的に抱えている不安や、医療を受けるまでもない程度の身体的不調などを、【病気にしてしまう】ことで病気を作る、やり方が、所謂スタンダードな病気の作り方なのだ。



鬱病とマーケティング


1990年代に新たな種類の抗うつ剤を製造した企業が、旧来の薬物療法を一線を画すと銘打ったのがSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)という用語である。これは医学用語でもなければ科学用語でもない、ただのブランド用語だ。セロトニンは確かに脳内の神経伝達物質だが、セロトニンに作用する点では新旧どちらの抗うつ薬も同じで、新が優れているというわけでもない。この用語はスミスクラインのマーケティング部が生み出したもので、当初の目的は、自社が販売する「パキシル」をリリー社のブロザックやファイザー社のゾロフトと差別化することにあった。しかしこの三社はSSRIという同一の用語を採用することで、新たな効果を持つ薬剤というまやかしの価値を創り出し、それが旧来の治療よりも優れているというまやかしを創り出し、マーケティング戦略として使ったのだ(もうただの詐欺じゃねーか)。

こうしたブランドの中でも驚かされるのが、「気分安定剤」という概念である。1990年代アボット社が、特許を取ったばかりの新薬「デパコート」のマーケティングのために引っ張り出した。気分は様々に変動するものであり、そこを狙って悩む人々を薬の顧客にかえようと画策した。気分安定薬、の巧妙なところは、正確に何を意味するか判断が付きにくいところである。様々な不安を持つ人に売り込むことが可能だ。1950年代の「精神安定剤」や1990年代の「SSRI」と同じく大成功したブランドだった。



双極性障害は、100万人に5万人いるとされ、躁うつ病は100万人に10人いるとされる深刻な病気だ。そのため軽度の神経障害の多くを双極性障害とし、薬を売りつけている。双極性障害は極めてファッショナブルな疾患となった。アメリカではテレビを通して疾患認識キャンペーンが繰り返され、ヨーロッパでは患者に教育資料が配布された。つまり患者に自己診断させ、自分は双極性障害ではないのか?と思い込ませ、医師にそう診断させることをせがむように、誘導したのだ。

たった10年の間に、もっとも深刻な病気はただのライフスタイルに変化してしまった。

このようなマーケティングは、何もない所から魔法のように薬を産み出すのだ。20年前に双極性障害や骨粗鬆症、女性性機能不全などに掛かっていた人は皆無だったにも関わらず、現在は世界的な流行を示す疾患となっている。

20世紀初頭には、死にかけている人を死の床から起き上がらせた、サルファ剤ペニシリンのような抗生物質を産み出した本物の科学が存在した。こうした本物の薬は何もしなくても売れるのだ。だが現在のベストセラー医薬品は科学がもたらしたものではなく、マーケッターが用意した数値に基づいて販売されている代物だ。

サルファ剤が導入された1937年から、1962年に医薬品規制を強めるアメリカの食品医薬品法改正までの25年間が、医学発展の黄金期であった。抗生物質、血圧降下薬、向精神薬、抗うつ薬、経口抗糖尿病薬など、(本当の意味での)画期的な新規物質が登場した。


メルク社の広告では、風呂上がりの魅力的な女性が映し出され、「60歳でもこんなに美しくなれます」とメッセージを視聴者に送る。そして、「骨粗鬆症がこんなにも目に見えないものであることをご存知ですか?」と言う。更に、60歳以上の女性の二人に一人は骨粗鬆症にかかっており、一見しても解らないだろうが、骨粗鬆症は骨折などの原因になると伝える。この広告にメルク社が売りたい薬、フォサマックスの商品名は出てこない。骨密度検査をした方が良いのではないか、と視聴者に勧めているだけだ。(そうやって医者に足を運んだ視聴者の何割かが患者となり自社の薬を買ってくれる顧客となる)

インターネットの発達により、オンラインでの精神疾患の診断が可能となった。鬱病、ADHD、アスペルガー、PTSDなど様々な病気の基準に自分が当て嵌まれば、彼らは医者へと足を運ぶ。そして医師たちは「基準に当て嵌まっているならその病気である」という診断を下してしまうのだ(すべては薬を売って金を儲けるために。利用できるものは、何でも利用する)。




マーケッターは医師「野心家」「懐疑的な実験者」「規制に縛られた者」「声なき大衆」の4つに分類し、それぞれに適したマーケティングを仕掛ける(賄賂、物品贈与、パーティーへの招待などというありきたりな手法だけではないということだ(この方法はのちに米国で規制された))。「野心家」タイプは新たな薬品の情報を欲する。よって企業は新薬を採用させるために、「野心家」を利用する。「懐疑的な実験者」は野心家に似ているが、経験に基づいた判断を行うため、そこを加味する。この2つとは対照的に、医師の大半を占めるのが「規制に縛られた者」「声なき大衆」タイプの医師だ。「規制に縛られた者」はガイドラインを重視する。こうしたタイプの医師は一度薬を選択したら、それを使い続ける傾向にある。


1990年にパリで開かれた医薬品会議で、グラクソ社のマーケティング部長は、薬を売るのはコンセプトだ、と語った。また、メルク社の鎮痛剤が消滅(副作用の為)したあと、ファイザー社はリリカという微妙な効果しかない鎮痛剤を売る為、線維筋痛症に効果があると謳った。線維筋痛症は曖昧な疾患で顧客を増やすのに好都合だったのだ。

製薬企業は市場に医薬品を送り出すには巨額の研究開発コストがかかると吹聴しているが、実はこれは微々たるものだ。新たな研究開発よりも、治療に於けるニッチの確保に時間が割かれる。(要はマーケティングですね)本当の研究予算は、新製品発売の際の臨床医のマインドセット確立に充てられるのだ。販促活動の特徴を見極めたら、次は科学的裏付けをでっち上げる(これが臨床試験捏造)。例えば痛みについては、リリカやサインバルタの臨床有用性についてのコンセンサス(合意)は、化学シンポジウム、オピニオンリーダーが書いたとされる(実際はゴーストライター)論文、有名な学者を起用した教育的イニシアティブによって形成される(解りやすく言えば製薬会社のマーケティングです)。


脳内化学物質の不均衡という概念作られ、脳内の神経伝達物質が同定(決定)されたのは1960年代初期。セロトニンの量が鬱により低下するが、抗うつ薬によって減少を補填するという仮説を提唱。しかし、精神薬理学者はその仮説を破棄した。明らかに不適切な仮説だったからだ。にもかかわらず、今日、鬱病によって低減したセロトニンは治療により正常に戻ることが可能だ、という考え方が、パキシル、プロザック、ゾロフトを売り込む宣伝としてスミスクライン社、リリー社、ファイザー社のマーケティング部門により蒸し返された。その聞こえの良いキャッチコピーは、1990年以降SSRIを製薬業界で最も高い利益をもたらす収入源に仕立て上げた。これと同様に骨粗鬆症やコレステロール喘息の薬を販売する際にも、マーケッターは、適切な科学分野の用語を、都合に合わせて使う。科学知識のうち、自分たちの製品を売るのに都合が良い部分だけを切り取って用いているのだ。

マーケッターは人々の思考を操る。例えば、子供時代は発達の段階で殆どの悩みや異常は一過性のものである、という考え方を捨てて、疾患や脳内化学物質の不均衡という観点で、鬱からADHD、自閉症、双極性障害まで、子供にも治療が必要だと考えるように仕向ける。加齢による血中脂質や骨密度低下も疾患に変貌させられる。目的は言うまでもないが、薬を売って金儲けをする為、だ。

私の意見としては、私自身強度のHSPであることもあって、『普通の人と明らかに違って生きづらい人』を病名を付けて別クラスタに分けるっていうのは、反対じゃないんですよ。私自身、普通の人と同じラインで30年以上生きてきて、それが、どれだけ辛かったか。@へ@;著者は普通の人(優秀な人)なので解らないようですが、一緒にされていると、その人たちは地獄を味わいますよ。なので、クラスタ分けをするのは賛成なんです。でもそれが製薬会社主導で薬を売る為、になされるとヤバイですよね。薬には必ずと言っていいほど副作用があります。いわば薬の治療は最終手段でなければならない(本当に他に手がないとき、または一時的な治療でなんとかなるときにだけ使う。間違っても軽度で慢性的に使うものではない)。なのに、最初から、そう、他の手段(例えば周囲の理解であったり、特別補助金を出したり)で何とかなる場合も、薬で治療しまくってしまうと(製薬会社の金儲けの為に)、副作用で苦しむ人が大勢出る結果になるわけです。

素朴な疑問なんだが、
この人ら(製薬会社の上層部)に
『良心』や『罪悪感』ってないのかな?
自分の家族や大事な人が同様の状態に置かれたら、
薬は飲むな!って言うに決まってますよ。
そういう行為を他人には平然とやって
金稼ぎをしてる
んです。




臨床試験が歪められている


薬の信頼性は、エビデンス(科学的根拠のこと)=臨床試験結果にあるが、そもそもこれが歪められている。公表するデータは(企業に)都合の良いものだけが選ばれ、臨床試験は巧みに操作される。そして、現在ほぼすべての臨床試験は製薬会社の出資で行われているのだ。

エビデンス(科学的根拠=臨床試験)のデータを企業がコントロールする方法。1つ目は集約された生のデータを誰も見れないようにしてしまうこと。2つ目は残りのデータを統計学で偽装し、都合の良いものだけを発表すること。

例えば、コレステロールや骨密度などの治験でに、「有意な」所見が生み出されると、試験の50%において実薬がプラセボ(効果のない薬のこと。治験で用いられる(人間は効果のない薬でも薬を飲んだという事実で体調が変化することがあるため=プラセボ効果)より効果が低かった場合や、実薬の方の死者が多かった場合でさえ、製薬会社はその薬の有意な面だけを抽出する。FDAのようなアメリカの規制当局やヨーロッパの規制当局は医薬品を上市するための条件を非常に甘く設定しているからだ。規制当局が薬の販売を認可するには、命を救ったり機能が回復したりする事実が必要なのではなく、プラセボ(偽薬)より有利な部分が僅かでもある、だけで良いのだ。例えば、100回試験して99回悪い結果が出ても、1回良い結果が出ると、それのみを採用する。
こうした事実に対して我々患者は無知であり、それでいて【正確な臨床試験の元、正確なエビデンス(科学的根拠)に基づいて医療が行われている】と、信じ込んでいる。

かつての抗生剤、ペニシリン命を救うことが明らかである。一方、抗うつ剤や、スタチン系薬剤(心血管系疾患歴のない人に投薬されたもの)、ぜんそく薬、骨粗鬆症治療薬、その他多くの症状については、同じ明確さで効果を示すことはできない。ベストセラー薬の「効く」は、製薬会社にとって利益になる、ということ。実際にその薬が命を救ったり、生活を改善したりすることではない。ペニシリンやインスリンを投与する医師は、ほぼ100%患者を救っていた。しかし、昨今のベストセラー薬(抗うつ剤、コレステロール低下薬、骨粗鬆症薬など)を投与する時、医師は患者ではなく、医師自身や、製薬会社、政府機関を救っているのだ。

マーケッターはよく知っている。我々大衆が、確率での合理的な判断をしないことを。骨密度増加、セロトニン正常化、コレステロール値低下、そういった神話的イメージを重要視することを(まあ要するに、残念ながら馬鹿なんですね、、、)。


治療誘発性の有害事象の報告のうち、80%は正しい。臨床試験の30%は報告されていない。報告される試験の50%はゴーストライターが執筆している。公表された研究の25%は製薬会社の都合の良い結果に書き換えられている。臨床試験の全貌を我々(製薬会社サイドでない人間)解き明かすことは現状、100%不可能である。


医薬品の役目は、
命の救済、生活の向上、
既存の治療法を向上させたりする

ことにある。
製薬会社の目的は、
自社の医薬品を市場で販売し、利益を得る
ことにある。


薬品に価値があるかどうかは、
既存の薬品と比較すればいい。
しかし既に語ったように、既存の薬品と比較して優れている、という条件は規制当局の承認条件に、ない

SSRIの臨床試験で、改善を示した鬱病患者は、従来の抗うつ剤よりも、少なかった。しかし、市場で販売するために、古い薬より優れていなくてはならないという条件は、ない。プラセボ(偽薬=効果のない(思い込み)薬)より良い成績を出すだけでいい。同じようなことが、鎮痛薬、骨粗鬆症薬、血糖降下薬、抗精神薬、他ベストセラー薬のほぼすべてで言える。
抗精神薬は心臓発作、脳卒中、糖尿病、そして自殺率増加のため、慎重な投与を要する薬だ。この薬を服用している患者を長期的に調べたところ、例外なく命の短縮を示していた。年単位ではなく、十年単位でだ。

製薬会社による比較試験の操作は、企業が不正行為を行っているから、だけではなく、企業に加えて、医師も患者も、政府も病院までもが、薬が効いて欲しいと願っているからだ。その願いを叶えるかの如く製薬会社は都合の悪い試験結果やデータを隠蔽し、都合の良い試験結果やデータを公表する。




2004年、FDA医薬安全局のグレアムは、メルク社のバイオックス薬について、服用者が心臓発作を引き起こす確率が7倍にもなると科学データにより指摘されていたにも関わらず、FDAは医師と患者にこのリスクを警告するようメルク社に求めてなかった。グレアムはバイオックスが引き起こした可能性のある心臓発作は既に3万件と推測する。
筆者は何故これを、FDAの審査官が告発したのか?と疑問を抱く。医師は何をしていたのだ、と。この科学データはFDAにしか見れないものではなく、多くの医師の手にも届いているデータであったためだ。医師たちは医学的治療に対する責任を失い、医薬品配布チェーンの一部と化してしまっている。医師は市場原理によって利益を求める存在になかなかならない。患者の為に効果的な医薬品を選ぶこともできない。それは医師が既に製薬企業の傀儡になっているからだ。臨床試験を行っているのは医師ではなく、製薬会社で、企業はそのデータを隠匿する。いわゆる生のデータ(本当のデータ)を見ることは外部の人間はできない。製薬会社に不都合なデータは既に消去され、存在していないのだ。またトップの学術誌に高名な学者の名前を使ってゴーストライターに書かせた、製薬会社にとって都合の良い内容の論文で、世論を押さえつけることもできる。


バイオックスを旧来型の薬と比較試験した際、メルク社は、バイオックスを投与した4047名のうち17名が、過去薬を投与した4029名のうち4名が、心臓発作を起こした。バイオックスの方が心臓発作をおこしやすかったが、この結果はメルク社によって統計学を用いて上手く隠蔽された。メルク社だけでなく多くの企業は公表されてい永久に残る学術論文の中で、統計学を巧妙に使い、多くの死を隠している。

現代の医療において、薬物治療を受けている人々ほど頻繁かつ濃縮された化学物質を摂取している人はいない。



1997年、GSK社の抗うつ剤、パキシルはプラセボ薬より効果が低くまた危険だという所見が示されたが、GSK社は臨床試験結果から都合の良い所だけを抜粋し公表した。パキシルを投与された子供たちの自殺行動はプラセボの6倍も高かった事実もまた、隠蔽した。


2004年、ファイザー社のゾロフト服用4日目で、12歳の娘が自殺した親からの証言。検視報告書で体内にゾロフト残留確認。娘はうつ病や希死念慮ではなく、友人も多く明るかった。学校生活にまつわる不安の対処としてゾロフトを処方される。ゾロフトの潜在的な作用について適切な警告と示唆を受けていればこんなことにはならなかった。薬を処方した医師、堕落したFDA、そしてファイザー社を憎みます、と書かれている。


23歳の娘をグラクソスミスクライン社のパキシルにて自殺させられた親もいる。娘は就職を前に不安から不眠を感じていて、医師に相談したところパキシルを医師から処方(要はこの程度は薬に頼らない方法でなんとかしていく(なんとかできる社会)であるべきですよね。なぜかっていうと、薬は諸刃の剣だからです)。二週間後に命を絶った。医師やFDAを信じてきたのに。製薬会社の頭の中はビジネスしかない。奴らの目的は株主の富を増やすことだけだ。娘は高度に商業化された事業の犠牲者となった。マーケティングのターゲットとなった。と語っています。グラクソスミスクライン社は、意図的に実験結果の都合の良い部分だけを公表し、論文を影響力のある雑誌に掲載し、医師にパキシルを処方させようと目論んだ。


現在は
医療医薬品=医師の処方が必要
OTC医薬品=薬局などで買える


だが、かつては処方箋なしで薬が買えた。しかし国はこれでは危険な薬が患者の意思一つで買えてしまうと危惧し、重要な薬は医師の処方箋ありきでしか入手できなくした。社会の為に、良かれと思ってやったのだ。しかし、製薬会社はそれをも金儲けに利用した。医師しか処方箋が出せないのであれば、その医師を自分たちの傀儡にしてしまえばいいのだ。そうなると事態は以前よりも好都合。患者の意思(薬の適合)など関係なく、医師の判断で処方できる(し続けられる)【我々は医師を信頼しているはずだ】。慢性疾患を創り出し、長期的に医師から薬を処方させる(長期的に薬の売り上げを見込める)というマーケティングである。

製薬企業からすれば、【病気を治してしまう薬】よりも【病気と生涯付き合っていく薬】の方が利益が出やすい。治す薬は治ってしまえば薬を買ってくれなくなる上に、「治す効能がある薬」でなければならないというハードルの高さがある。一方、生涯病気と付き合っていく薬、は別に治らなくても良いわけだし(むしろ治らない方がいい)、薬の効能は適当で構わない。なんなら病気の症状も適当で構わない。とにかく患者が恒久的に金を払い続け、薬を買い続け、利益が上がり続けさえすれば、それでいいのだ。(むしろ、企業は治す薬を排除しようとすらするだろう。慢性疾患で売り続けられる薬が売れなくなってしまうと困るからだ。


ファルマゲドン


医療の目的は、人間の心身の脆弱さと取り組むため、出来る限りの技術の助けを得て無数の調整を行う事。そして人類を最も衰弱させている苦境から可能な限りの健康を引き出すことにある。これは、現在の、健康製品が提供する生活の向上とは、全く異なる。
患者は一人一人抱える疾患が違う。医師は一人一人と向き合い、診察によってそれを見極めることが大事だ。しかし今日の診療は、リスク要因を標準化した形式でスクリーニングして健康商品を提供するというものになっている。ベストセラー薬である、スタチン系薬剤、骨粗鬆症、神経障害、血糖値などをコントロールする薬……これらの多くは、回復と同等の傷害をもたらす可能性が高いことが臨床試験で明らかにされている。ペニシリンのように短期投与で確実な効果をもたらす薬とは異なり、こうした薬剤は、慢性疾患に対して恒久的に投与されるため、その効果は我々の人生を大きく変える力を持つ。




これらの3冊の本で語られていること


実に似通っていた。
関りのない(同じ団体に所属しない)3名が書いている内容が、似通っているのだ。

内容を簡潔にまとめる。

・医療業界は、製薬会社が掌握している
・製薬会社は、金儲けの為なら、手段を問わない
・その為、我々患者(一般人)は甚大な被害を被っている


(大雑把に述べるとこうで、もう少し詳しく言うと)

・製薬会社は病気を作って(病気でないことも病気にして)薬を売って金儲けしている(長期利益を見込める定義があやふやな慢性疾患を好む)
・現在販売されているベストセラーの薬は、過去の薬よりも性能が劣り、副作用も多い
・医師・科学者は製薬会社の操り人形状態である
・薬の臨床試験も、製薬会社の意のままに隠蔽工作されているため、そもそもの基準からして捻じれ曲がっている(医師も臨床結果を基準に医療を行うため)



さて、このような本は、どれほど読まれるのか? 売れたとは書かれているが、絶対数から考えたら、大して読まれないだろう。難しくてややこしいからだ。解りやすく書いたこの記事すら読まないだろう。つまり大衆は「大きいものは良いことだ」で何となく(国や大企業を)信じ続ける。この本の購入層は医者や薬剤師や科学者、特定部署の公的機関の人間、製薬会社の人間など、の医療関係者にほぼ限られるのではないか。私は小説のネタとして読んだが、そんな理由で1万円も出して3冊も購入する人間は……日本に何人いるか?というレベルだろう。ちょっとした興味本位で素人が読むにもハードルが高すぎる(正直一般人からしたら専門用語も多いし、文章もハッキリ言って読みづらい(論文形式だが、叙述的な、小説のような言い回しが散見され、また簡潔ではなくワザとムズカシイ言い回しも多用され、これらが相まって読みにくいことこの上ないwこういった学術書は、問題の原因と結果、解決策のみ淡々と書いて欲しい。詩的表現やレトリックはただ、読みづらさを増す要因にしかならない。私のブログ記事の方が20倍読みやすい文章だとすら思う^^;)。


私が読んだ3書の内容は、市場原理主義であるこの世界、いわゆる「世の中金が全て」の要素があらゆるものの中で最も強いこの世界では、実に自然なことのように思う。しかし、我々大衆はなかなかこの自然を受け入れられない。その理由は、受け入れたくないから、だ。だから、【国や大企業のように大きなものが、そこまで悪いことをするはずがない】という思い込みに必死に縋る。その妄想が肥大化する搾取によって、次第に打ち砕かれていくと今度は、「世の中金が全て」を受け入れ始める。その時にやることは、そんな世の中の是正、ではなく、自分もそのバトルロワイアルに乗って更なる弱者から搾取するか(一部)、もしくは絶望と諦めの海に沈むか(大半がこっち)、である。










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