ビッグ・ファーマ製薬会社の真実を読んで

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本書は2005年に書かれた
製薬業界の暴露本す。著者は、マーシャ・エンジェルという医師であり、ジャーナリスト(医学雑誌の編集長)であり、大学(ハーバード大)の社会医学学科講師でもある方です。
(少し前の本ですが、今も本質は変わってないというか、新自由主義は当時より顕著になっているため、今の方が酷いでしょうw)



ビッグファーマとは、
巨大製薬企業のことでメガファーマとも呼ばれます。

製薬業界は医学界(医師の教育や薬の処方)
支配
している。
製薬会社の新薬のうちの大多数は
既存の薬のバリエーションに過ぎない。
研究開発にかけるお金よりも、マーケティングにかけるお金の方が圧倒的に多い。
製薬業界は、連邦会議やホワイトハウスの首根っこを押さえ、多数のロビイストを政界に送り込み、選挙運動に資金提供を行っている。
製薬会社は自分の薬の売り上げに貢献する宣伝を流し、多くの人がその病気を気にするよう仕組んでいる。
製薬会社は自社の薬の臨床実験結果を任意で操作(捏造)することが可能であり、それは行われている。


*本記事は著書の要約ではなく、著書を元に私なりの解釈で文章化しています(解釈が間違っている可能性アリ)。内容の取捨選択や解釈は私の恣意(私見)が多分に含まれており、この記事を読む=本書を読む、にはなりません(~だろう。~と思われる。という記述もそこそこあり、そういうのは著者中で自分はほぼこうだと考えるが100%の証拠はない、って部分でしょう。そういう部分は本記事では意識して省いてます)。また本書は300ページを超える大書であるため、本記事に記載される内容はその一部に留まります。本書の内容を正確に知りたい方は、本書をご購入下さい。ココの解釈(個人的意見ではなく著書の解釈が)決定的に間違ってるよ、という部分があれば伝えて頂ければ幸いです。




すべては、製薬会社の金儲けのために


製薬会社金儲けの為に、薬の価格は騰がり続けている。
米国では、日本のように国民皆保険がないため、貧乏人は薬を買えないのだ。2001年の時点で高齢者の四人に一人が、経済的理由で薬を購入できない状態にあった。

また、予算の中で研究開発費よりも、マーケティング費の方が圧倒的に多い。ベストセラーの薬品の特許期間を延ばすためのロビー活度に資金を最優先で注ぎ込んでいる。更に、製薬業界に技術は特別優れているわけではなく、大多数の新薬は既存の薬品の焼き直しレベルの代物(ゾロ新薬と呼ばれる)でしかない(2002年に承認を受けた78個の医薬品のうち既存の薬よりも優れているとされたものは7個だけだった。これらの7個は米ビッグファーマが開発したものではない。新薬の開発は政府、大学、小さな研究所に依存している)。

薬の分子構造を少し変えて別の薬(新薬)として特許を取るだけで独占販売して金儲けができる期間が長くなる。わざわざ(本当の意味での)新薬など大金をかけて開発する理由がない。

2000年から2003年の4年間のうち政府機関(FDA)の承認を受けた画期的新薬(ゾロ薬ではなく事実上の新薬)は32個であり、そのうち上位製薬会社はファルマシア社、メルク社、マイヤーズスクイブ社、ワイス社、アボット社である。ファイザー社の名前はない。




製薬業界は本来、役に立つ薬を創り出すための業界、のはずだがその本質はあまりにも金儲けに寄り過ぎて本来の目的を見失っている。現在の製薬業界(2005年時点)は、あやふやな価値の薬を売りつけるマーケティングマシーンであり、その金儲けによって蓄えた財力で、米国議会、米国食品医薬品局(FDA)、大学病院、医師会などの反勢力組織をひたすら買収している(ブラウン大学医学部精神科部長は、1998年、50万ドル(5000万円)を超えるお金を製薬会社から受け取っている)。更に、製薬会社は、研究結果を隠蔽したり捏造することも多々あった。

他にも米国国立衛生研究所の上級研究官のうちでも、関節炎・筋骨格皮膚疾病研究所所長、臨床センター長、糖尿病・消火器腎疾患研究所の部門長、ヒトゲノム研究所前所長など、様々な国の要職に在る人物が製薬会社からを受け取っている。大学もまた、製薬業界に従属的な立場をとっている。大学側のメリットは製薬会社から寄付されるである。

薬は人体に甚大な影響を及ぼすもので、多くの人の人生すら容易に変え得る。ゆえに製薬会社は、金儲けマシーンであってはならない存在なのだ。だが現実、製薬会社がやっていることは、マーケティングに特化した金儲けマシーンそのものであり、実質的な社会貢献度(人々の役に立つ薬を創り出すという本来の存在意義)は極めて低い。



新自由主義が製薬会社を巨大化させた


1980年、ロナルドレーガンが大統領に就任し、新自由主義的政策を行った。とにかく社会全体がを追求するようになり、貧富の差は開き始め、金儲けがすべてに優先された。また「バイ・ドール法」(日本では「産業活力再生措置法」)が成立する。

これは従来、大学の研究成果は公共の価値(誰でも使えますよ)となっていたものが、大学の研究室自体が特許を取得できるようになったもので、そうなるとその大学に企業が個人的に取引契約することによって、大学の研究成果を大企業が独占販売できるようになった。この法律により、製薬業界の力は一層強まり、また製薬会社は自ら研究開発を行う意味がなくなった(著書が書かれた時点で、大手製薬会社の市販薬の開発の1/3は、大学などで行われている)。製薬企業は金儲けだけに徹する商売人の側面を益々強めた。

これにより、研究者側にも変化が起きた。これまでは研究結果が公共に使われていたため、利益優先の行動を取ることはなかった。しかし個別に企業と結びつくようになると、企業側に倣い、如何に儲けるか? を研究者側も重視するようになった。このため製薬会社の都合が良いように研究結果を報告することもあるのだ。



特許は、発明したアイディアを権利化し、他社に使わせないようにしたり、あるいはライセンスにより使用料を得ることができます。国内で特許化するには所定の書類を作成し、特許庁に出願を行い、その後審査審査請求を行います。発明したアイディアが特許化できる可能性があるかは、特許調査や請求項をどうすべきかなどの専門的な要素がありますが、そのあたりは知的財産部門で対応いただけるケースが多いです。大学で発明した特許の場合、ライセンスを行うケースが多いです。ライセンスには、大きく通常実施権、専用実施権があり、通常実施権は複数の企業を対象にライセンスをする契約です。専用実施権は特定の企業のみを対象にライセンスをする契約です。ライセンスを受けた企業は独占的に権利を行使できます。

引用:大学研究者向け_知っておくと役立つ特許権の基礎知識
ライセンスを受けた企業は、独占的に権利を行使できます。つまり、企業側からしたら、専用実地権を用いてライセンスを受けたいわけです。金儲けの為に。

学問分野や研究者によっては権利化ということを意識せず、積極的に公開することが公共の利益になる、という考えが主流を占める場合があります。京都大学では、特許出願されるべきかどうかの判断を発明者に委ねています(ただし、その主旨が公共の利益に資する場合に限る)。したがって、発明を届け出ずに発表を行うことに拘束はありませんが、その場合発明の内容が特定の個人、団体に発表前に漏洩して特許出願されないよう留意する必要があります。

引用:大学人は特許を取って権利を独占するよりも、権利化せずにどんどん発表して公知にした方が公共の利益になるのではないでしょうか?

もちろん、このように【特許を出さない】という選択も大学(科学者)には取れるわけです。ここに書いてますが、特許を取らなかった場合、他の企業などに研究結果を盗まれることになり、自分には利益が入らず利益が入らない故に研究が滞り、結果的に最初に開発しようとする人がいなくなる、とあります。だから大学(研究者)側が特許を取る=悪、ではなく、それを特定の企業にライセンスを供与し、その企業の言いなり(見返りは金)になってしまうことが、悪なわけですね。(反面、大学は基本、国からの助成金で研究を行うため、その研究成果は一企業の独占ではなく、公共にもたらされるべき、という考えには納得できる。しかしその研究費を国が絞ると、大学側は企業に頼らざるを得なくなり、結果として企業利益を優先した研究が行われてしまうわけですね)


新薬創造の裏側


新薬の開発とは、まず対象となる病気の【研究】から始まる。その病気の成り立ちを理解し、それに適合すると考えられる化学物質を試していくのだ。研究における大部分はこの、病気の成り立ちの理解に取られてしまう(数十年の時間を要する場合もある)。この【研究】は大学の研究室や国の研究機関(米国国立衛生研究所)などで行われる(つまり、実際に新薬を開発しているのは製薬会社ではなく、ほぼこの研究者たちなのだ)。

研究(病気の成り立ちの理解)が終わると、それを改善する化合物を発見し、合成する。ここが【開発】といわれる)。そしてこの開発から(その研究結果を買い取った)製薬会社が関与してくる。薬の試作品を試験……俗にいう臨床試験を行う。しかし、ほとんどの製薬会社は臨床試験前にその薬の特許を取っている(臨床試験中にライバル社に盗用されないため)。そのため、貴重な特許期間(独占販売できる期間)が無駄にならないよう、臨床試験を早めに済ませたいというのが製薬会社の本音である。

米国食品医薬品局(FDA)=新薬を審査する機関、は、製薬会社の圧力によってその審査機関を大幅に短縮されている。製薬会社の金儲けのために、薬の安全基準が犠牲にされている。また期間を早く済ませるだけでなく、臨床試験自体が、製薬会社と契約した(つまり金を貰っている)機関に行わせている。当然結果は製薬会社の都合の良いように操作できる。現在、臨床試験は製薬会社の掌の上で行われているのだ。
ようは、【研究】【開発】も製薬会社の思いのまま、なのである。




要するに製薬会社がやっていることは、他人(大学や国の研究員)が創薬した薬を買い取ってして自社のものとし、それを金の為に如何に僅かな期間で(自社に都合よく操作した)臨床試験をクリアさせるか?ということ。

1998年から2002年にかけて国が承認した新薬のうち、本当の意味での新薬は14%で、他は既存の薬の焼き直しである。なぜこんな風になっているかというと、承認の基準が「効果がある」ことにされているからで、既存の焼きまわしだろうが、効果さえあれば新薬として承認される(プラセボより上であればok)。「既存薬と比較してより優れている証明」は要らないのだ(本来、どう考えてもこの証明は必要だろう?)。結果、新薬のうち、本当の意味での新薬は僅かしかないという状態になってしまっている。


製薬会社は薬の特許が切れると、独占販売が出来なくなり、売り上げがガタ落ちする。それを防ぐために、既存薬と名前だけが異なる効果はほぼ同等の薬を、画期的新薬として発表・宣伝し、顧客層をその(効果は同じ)新薬に乗り替えさせ、そちらの新薬で特許を取り、独占した金儲けを続ける、という手法が成されている(本書では具体的な薬品名がいくつか出ている)。我々(薬を買う側)からすれば、効果はほぼ同じなのだから、別にどちらの薬でもいいわけなので、これは製薬会社の売り上げの為だけの行為、である。



慢性疾患(鬱病、関節痛、高血圧、高コレステロールなど)は恒久的に薬が売れ続けるため(患者が長期にわたって薬を服用する傾向が強いため)製薬会社は金儲けが長期で出来て、嬉しい。よってこれらに対し製薬会社は参入したくてたまらない。また、客層の購買力も大切である。つまり、貧困国で流行るマラリアなどは、薬を開発してもマラリアにかかる層に金がなく、金儲けが見込めないため、製薬会社はこれらの薬の開発に消極的である。こう考えると(資本家なら当然こう考える)日本の鬱病などは製薬会社の餌場のようなものであると解る。多数が長期服用する薬である上に(鬱病大量生産な社会環境)、日本人の多くには薬を購入し続けるだけのお金が(貧国などと比べると圧倒的に)あるからだ。







研究開発費とマーケティング費


薬が高いのは、研究開発に巨額のお金がかかるからだとされている。しかし…?
2001年の新薬1錠に対しての研究開発費は、8億ドル(およそ800億円)と発表した。しかし、著者が独自に計算したところ、新薬1錠の研究開発費は1億ドル(およそ100億円)程度だと判明。8億ドルという数字は、特に費用の掛かった薬のみで算出した(本来の平均ではない虚偽の)数字であったが、マスメディアはそれを報じなかった。
2002年。米製薬会社上位10社の売上額は2170億ドルで、そのうち研究開発費に使われたのは、14%。利益率(純利益)は17%。そして、マーケティング費は31%であった。


薬を売るため(金儲けの為)に、病気を作る


という禁断の領域にすら、製薬業界は立ち入っています。
例えば、2000年ごろ、高血圧の基準が緩和された。長い間、高血圧は血圧140/90以上と定義されていたが、血圧120~140/80~90の人も高血圧であると定義変更された。これにより高血圧の人は増え、その増えた分薬が多く売れるようになったのだ。同様に、コレステロールでも同じ基準緩和が成されていた。
胸やけもそうである。誰しも胸焼けくらい経験したことがあるだろう。昔は特別な医療処置を取らずとも胸焼けはなんとかなるものだった。だが現在は「酸逆流症」「胃食道逆流性疾患」などの病名が付けられ(実際には食道疾患に至ることは稀)、その治療薬として薬が販売されている。

また私自身も認定されている鬱病を筆頭とした心の病も、同様ではないだろうか。【製薬会社が薬を売って金儲けをする為】に、病気認定(病気を作って)して薬を処方している現実は、ほぼ100%あると考えられないか?
現にグラクソスミスクライン社のパキシルは、内気なせいで心身が消耗してしまう病気(オレじゃん)「社会不安障害」の治療薬とされている。

「薬をたくさん売るには、精神疾患を買わせることである。自社がパキシルを持っていて、パキシルが社会不安障害への適応を持つ唯一の薬だとしたら、製薬会社であればどこだって、できるだけ社会不安障害のカテゴリーを広げ、できるだけ疾患の境界を曖昧にしようとするだろう」

本書より引用

何故か? は言うまでもなく、「薬を売って金を儲けるため」です。

精神疾患は、一言で言ってしまえば、
製薬会社にとってのドル箱なのだ。

(私自身、精神科医から鬱病認定を受けている、鬱病患者です。しかし向精神薬、抗うつ剤の類は飲んでいません。飲んだこと、はありますが効果が(少なくとも良い意味での)見られなかったため、止めました。よく巷で言われている「鬱病は製薬会社によって作られた病気か?」には私はYESと答えます(もともとそう考えていたが、今回の本を読んで一層そう考えるようになった)。苦しい状態にあり、服薬でその症状が緩和されている人にまで、薬を飲むな、とは言えませんが、少なくともそうでないのなら(単に医者に勧められているだけとかの理由で)、抗うつ剤向精神薬の類を飲むことを、私は勧めません。あ、モチロン、鬱病・心の病、の問題と、製薬会社の薬ビジネスの問題は分けて考えないといけません。抗うつ剤は製薬会社の金儲けのために作られた無駄な薬=心の病は存在しない、ではないのです。心の病は、あります。誰だって許容量以上の負荷が精神にかかれば、心は壊れます。ただ、それを製薬会社が薬を売って儲けるために、利用しただけ、です。)


解釈を広げ新たに精神病を作ること(端的に言えば内気であるなどの、性格を病気としてしまう事)で、様々な薬を患者に長期で売って金を儲けることが出来る。

「あらゆるマーケティング担当者の夢は、誰も手を付けていない未知の市場を発掘し、それを開発することです。それこそがまさに、我々が社会不安障害に望んだことなのです」

byパキシル精神販売担当部長のインタビューより。……え、何この清々しいゴミ^^;グラクソスミスクラインの部長さんゴミじゃねーか^^;製薬会社は、9.11のテロの後も儲け時と考え、貿易ビル崩壊の映像をコマーシャルで流し、それによって社会不安になった人にこの薬で不安を取り除きましょう、とパキシルを宣伝した。……^^;(←書きながら引いてしまう人)




メンタルヘルスケア、と言えば聞こえはいいが、その目的「メンタルを改善すること」ではなく「薬を売る事」にあるとしたらどうだろうか? 本来、メンタル問題のほとんどは薬の力など借りなくとも解決できるし、そういう社会であるべきである(多くの場合、原因は個人ではなく社会に存在する)。だが、社会的な原因はそのまま薬の力で脳を胡麻化し解決するという方法「薬を売って製薬会社が儲けるため」に行われている。(ド糞、ここに極まれり、って感じですねw)

一方で著者は、製薬会社が画期的な新薬開発した事実もあるとしている。糖尿病に対するインスリン、感染症の抗生物質、疾患予防のワクチン、心筋梗塞に対する抗凝固薬、癌に対する化学療法、その他鎮痛剤や麻酔薬など、所謂世のため人の為に貢献した事実もある事はあるのだ。筆者は製薬会社のすべてを否定しているわけではない。ただ看過できない(プラスの局面を鑑みても到底妥協などできない)レベルの黒々しい部分が確実にあると述べている。



製薬会社のマーケティング


2001年、製薬会社医師へのマーケティング費として、55億ドル(5500億円)使ったと言っている(結果として医師側は製薬会社が売りたい薬を患者に勧める)。またテレビを使って、芸能人が病気を告白する番組がたまにあるが、あれは裏側でその病気の治療薬となる薬の宣伝を兼ねていることが多く、製薬会社側からお金(宣伝費)が芸能人に支払われている。マーケティングはステルスに行われるものも多くある。製薬企業もテレビ側のスポンサーであるからだ。
2002年の米国製薬会社のマーケティング費は、小国のGDPに匹敵する金額である。ちなみに大手製薬会社の役員報酬は、年間数千万ドル(数十億円)とされている。


結局企業の本質は金儲け集団であり、それを運営する資本家(株主、CEO、役員)が如何に多くの金を稼ぐか?にベクトルは向けられている。社会的貢献はその結果(たまたま)でしかない。これは、「良い」とか「悪い」とかいう話ではなく、「そういうもの」なのだ。首輪をつけてないと暴走し、今日の製薬会社のように金の為に何でもやるのが自然だ。だから我々大衆やその代表である政府(国家)は、資本家とその下部組織である企業が自己利益特化に暴走し過ぎないよう、監視し続ける義務がある。その義務を大衆(労働者)が捨て、政府は企業策略によりお仲間にされてしまっているのが、今日の地獄状態である。



製薬会社がマーケティングの主なターゲットとしているのは、消費者よりも医師である。薬を実際に処方するのが医師だからだ。医薬情報担当者(MR)は医師と懇意になるため、ありとあらゆることをする。おもねり、食事に誘い、プレゼント(現金を含む)を渡す。また製薬会社から医師にお金が払われ(1日数百ドル)その見返りとしてMRが患者の診察現場に立ち会う。医師との共生関係を築こうとする。もちろん目的は、自社の薬を処方してもらうためだ。国も2003年に警告を出したが、抜け道は幾らでもある。医師に金を渡して直接薬を処方させるのは違法だが、訴訟されたケースはほぼない。(アメリカではオバマ大統領の時代になってから、こうした直接的な企業から医師への賄賂・贈り物・食事は規制されました。いわば、表層のマーケティングが規制されたのです(深層は臨床結果の捻じ曲げにあります))


医師は最新の医療情報を学ぶ【教育】ため、勉強会(医師生涯教育認定機構)に足を運ぶが、この勉強会の費用の60%を製薬会社が負担している(2001年時点。これ以降増加傾向にあり。医師も自腹を切らないで済むためwinwin)。つまり、勉強会のスポンサーが製薬会社なのである。こうした勉強会の後に医師が、スポンサー企業が販売する薬を多く処方する、ということが証明されている(つまり教育内容を自社有利に操作している)そりゃあしちゃうよね。だって、企業だもン。

製薬会社がマーケティングを成功させるには、医療業界の堕落も不可欠だ。医師・医療機関が患者を第一に考える人間ならば、「これはおかしい」と歯止めがかかるはず。しかし実際は、患者のことよりも自身の金儲けを医師(医療機関)もまた優先させてしまっている現状がある(そうでなければ製薬会社のマーケティングは大きく成功しない)。




消費者に対する広告規制緩和された(この規制緩和をしまくって企業側の自由度を上げるのが、新自由主義の真骨頂である)。1997年まで国は薬の広告に副作用をすべて明記しなければいけないとの条件を付けていた。このため薬のCMはほぼなかった。しかし、1997年に「主なリスクを1つ明記し、問い合わせ先を乗せればok」と条件が緩和されたため、薬の広告は一気に増加。テレビ広告に当てられる費用は25%から64%まで上昇した。


マーケティングには様々な方法がある。例えば、「効能を増やす」のだ。1つの薬で新しい疾患で臨床試験をクリアすれば、その疾患を抱える患者を追加で顧客にできる。ニューロンチンは最初、抗てんかん薬だったが、のちに、躁うつ病、外傷後ストレス障害、不眠症、不穏下肢症候群、顔面紅潮、片頭痛、緊張性頭痛などの(どれもありふれているが症状が曖昧な疾患を狙った)臨床試験もパスしたため、それらの疾患を持つ患者にも売られ、売り上げを大きく拡大した。

製薬会社はマーケティングをそのままマーケティングとは言わない。医療従事者の「教育」と呼んだり、社会への「奉仕」と呼んだりする。そういった呼び方をすることにより大衆の目をごまかすと同時に国の規制から逃れられるのだ。


本当にいい薬なら、マーケティングなどせずとも、勝手に売れる。マーケティングをしてまで薬を売り込むこと自体、製薬会社の存在意義が???なものになっていると言えないだろうか。(いや言えるだろw)





臨床上の問題に対して、偽の研究で偽の結論を出す行為もされている。その情報を偽の教育で医師に流布させ、偽の情報に基づいて医師たちが多くの薬を処方する。賄賂やリベート(手数料、世話料)がこの流れを円滑にする。この腐敗した構造は正されるべきだし、何よりそもそも問題、こんなにも多くの薬を我々人類は使うべきなのか? 現代社会は薬を使い過ぎている。医師も薬物療法に頼りがちだ。
薬がもたらす副作用を医師が完全に熟知しているわけではない(モデルケースしか医師は知らない。現実は患者の数だけ実例がある)。過剰投与・多剤投与は可能な限り避けるべきなのだ。無論適切な処方薬によって生活の質が向上している人がいるのも事実。だからこそ医師は本来の意味での研究や教育に基づいて処方を判断すべきであり、決して製薬会社のマーケティングに基づいた研究や教育の基に薬を処方すべきではないのだ。


ヒット薬の特許引き延ばしは製薬会社にとって最も儲かるビジネスである。
よってビッグファーマはあらゆる手を使い、この特許期間の延長を目指す。
特許期間が終わると、市場にはジェネリック医薬品が出回り、独占販売が出来なくなり、またジェネリック品はブランド薬品(特許を取っていた薬)よりも値下げしてくるのが通例であるため、利益は一気に落ちる。1980年時点では特許期間は17年であったものが現在(2005年)では20年に伸びている。


製薬会社の政治介入


当然、製薬会社政治(政府)にも積極的に介入し、自分たちのビジネスが上手くいくよう努力()しています。
製薬業界は1997年から2002年までのあいだに、ロビー活動費に4億7千800万ドル(400億円)の金を注ぎ込んだ。政府や連邦議会とのコネクションもあり、2002年時点で、ロビイストのうちの26人が議員経験者であり、342人が議会のスタッフもしくは政府要人の友人であった。


そして、ついに政治献金の話である。
製薬業界は1999年から2000年にかけての選挙期間中、候補者たちに二千万ドル(20億円)の献金を行い、更に規制を受けない献金を六千五百万ドル(65億円)出した。どういった議員が献金を受けたのか。1999年、当時上院議員だったトリチェリは、プラウ社という製薬会社のヒット薬・クラリチンとその他2,3個の薬の特許期間を延長しやすくする法案を議会に提出した。またハッチ上院議員はこの法案の公聴会を開催した。要は自社ビジネスに有利に動く議員に献金をしている(というよりも製薬会社側が献金をすることで議員を動かしている)。

製薬会社の影響力は政治の中枢にも食い込んでいる。ブッシュ政権の国防長官ラムズフェルトは、GDサール社のCEOであった。この会社は、ファルマシア社と合併した大手製薬会社であり、最終的に、ファイザー社に買収された。ホワイトハウス元予算部長は、イーライリリー株式会社(大手製薬会社)の常務であった。つまり、この記事で語ったような行為がまんま行われているのだ。大企業の経営者や幹部が政府の要人になる、逆もまた然り。


問題と解決策


筆者は製薬業界で起きている問題
その解決策を最後にまとめている。

ゾロ薬(既存の焼き直し薬)ばかりが名ばかり新薬として出回る問題
→新薬承認の条件に、既存薬よりも優れていることの証明、を入れる
(その焼き直しの薬を既存の薬よりも売るために、製薬会社はマーケティングに力を入れる問題も同時解決できる)

国家機関(FDA)が製薬会社の犬状態であり、製薬会社が行う臨床実験は製薬会社に都合の良い結果しか出ない問題
→国家機関の立場を強め、臨床試験を監督する

特許期間が長すぎる問題
→独占販売権を制限する

医師が製薬会社の都合の良いように教育されている問題
→医師会、医学部が医師を教育する。製薬会社に口出しをさせない

薬の値段が高すぎる問題
→薬価は適正に、全国共通に





理想と現実


要するに
巨大製薬業界は、
製薬を金儲けとしか考えていない
ということ。

色々難しい話だが、本質
金になることしかやらない、
金になるためには何でもする、

(逮捕されなければ、と書きたいが、時には法律さえも曲げ、時には訴訟すらもされながら、である)
という内容なのだ。


本来資本主義
資本家が金儲けを追求した結果として
庶民も豊かになる、ものだが
あまりに金儲けに傾倒し過ぎる
その結果までもが
庶民に恩恵をもたらすものではなくなってくる。


理想
人の役に立つ薬の開発が最優先され、
それを多くの人が手に入れることが可能であり、
その結果製薬会社は適正な利益を得る。


だが、

現実
製薬会社が儲けることが第一であり、
研究開発よりマーケティングが重視され、
実際の薬は既存製品のたらい回し、
如何に特許期間(独占販売期間)を延ばすかを
(安全性を無視して)試行錯誤、
果ては臨床試験結果までも操作し、
政府・医者に介入し、自社ビジネスを有利にする。


という具合、いや有様である。




資本家の本性は銭ゲバである、
という真理を何一つ外してない。
巨大製薬会社の行動は、
何もかも(うんざりするほど)予想通り
である。



結局原因はどこに在るのか??
本来企業と言うものは
金儲け第一主義の存在で、
彼らがやっていることはある意味自然なのだ。

不自然なのは何か?
社会であり、国家(政府)である。
こういった企業の我利我利に利益を追求する面をただし、如何に企業が社会に正しく貢献できるようにするか?
国家が、社会(国民)がやらなくてはならない。企業任せ、または企業主導(今の世の中だよ)ではダメなのである(完全な社会主義にしろとは言ってませんからね^^;)。










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