お金の向こうの人がいる
という本を読みました。
1600円の本ですね。
新品で購入しました。
2023/05/23に購入。
元ゴールドマンサックス金利トレーダーが書いた、予備知識の要らない経済入門、と表紙に書いています。本記事は、本書の内容の1/10程度を紹介しています。私が重要だと思った部分を抜き取ってます(本記事は、感想記事なので私の意見もかなり混ざってます)。
「財布の中のお金が自分の生活を支えている」という誤解。(この財布には、物理的な財布と紙幣だけでなく、預金などの電子データも含まれる)。
実際は、「財布の外で人々が支え合っている」(この人々には、現在だけでなく過去に生きた人も含まれる)。
Contents
お金に価値があるのではなく、お金で交換されるものの方に価値がある
これが供給ですね。
例えば、
老後不安の為に
お金を貯める人は多いです。
しかし、考えてみて下さい。
その貯めたお金を、
老後、どうしますか?
使いますよね?
使う時に
2つのものが必要になります。
2つめがお金を支払うことで
受け取れる供給(物やサービス)
です。
多くの人は1つめの、
お金だけあればなんとかなる、
と思っています。
これが供給です。
でも、間違っています。
2つめの供給、物やサービスがなければ、
お金だけあっても
「買うものが何もなくなります」。
通貨危機に陥った国は、この供給が無くなってしまった結果……です。
お金さえあれば何とかなる
の思想が先鋭化したのが
お金があれば何でもできる
の
「世の中金が全て」です。
お金は将来の約束チケット
と表現されていますね。
的確だと思います。
お金は「将来的に~することを約束する」
というチケットであり、
最終的には「税金を払う約束をする」
を解消するチケットになります。
日本政府は
国家最大の暴力である警察によって国民に
「税金は日本円で払え」を強制しています。
(払わないと脱税で逮捕され牢屋行き(牢屋=自由のはく奪))
つまり突き詰めればお金とは
「国家の暴力から自由になる券」
なのです。
「国家の暴力から自由になる券」は
国民みんなに価値があるため
その券は【供給】との交換に使われ始めます。
江戸時代までは、銀、銅銭、小判などの貨幣や米など円ではないものが商品の売買や給料の支払いなどのために使われていたが、明治時代に突如円貨が普及し始める。「円の普及」を大きく後押ししたのが、1873年の地租改正だ。
歴史の授業では「米の収穫高に関係なく、土地の所有者から税を一律に集めるようになったこと」に焦点があてられる。しかし、お金の歴史を知る上で重要なのは、「税の支払いを円貨幣でしか認めなくなった」という点だ。
引用:お金の向こうに人がいる 38p
②国民が税を払うために円を求める
③円が流通し、取引でも円が使われ始める
労働の自動化
すべてのモノは
労働によって作られている。
機械化し、
自動化することが可能だ。
昔に比べて僕たちの暮らしが豊かになったのは、労働を効率よく使えるようになったからだ。たとえば、白黒テレビが発売された当初、その価格はサラリーマンの給料の5年分だった。今では、1ヶ月分の給料も支払えばもっと大きくて高性能のテレビを購入できる。
技術革新などの生産の効率化によって僕たちが受けている恩恵は、材料費や原価が安くなることではなく、「労働が節約できること」だ。
引用:お金の向こうに人がいる 66P
【供給が自動化した部分から
労働時間をなくしていく】
これには繋がらないんでしょう?^^;
とある労働が機械で自動化したら、その労働の担い手は他の労働に移ります。ここまでは理解がされやすいです。しかし、それを繰り返していくと人力での労働の必要性自体が段々なくなってきます。どこかの段階で(ミクロではなくマクロでの)労働からの解放への道が開けるハズなんです。
私の意見を言うと、
「お金の向こうの人がいる」
というより
「お金の向こうに供給がある」
の方が私の好み()ですw
私は供給という言葉をよく使いますが、これは別に生産でも資源(労働資源含む)でもモノ(財)やサービスでも、意味合いが合ってれば何でも構いません。
お金の向こうには人がいる・・・こともある。でも、お金の向こうには人がいた・・・こともある。今は機械になり自動生産されている供給を(機械を)作った人、です。
供給は、現時点のものだけでなく、過去からの積み重ね
ですよね。
今の社会は供給で作られていますが
今働いている人の人力だけ
で作られていますか?
絶対違いますよね。
例えばこのカップ麺。
2.機械が自動で生産している部分
(↑もうこれ人間は、機械の監視一人と、トラックの運転手しかいらなくね?って思いますよね)
双方ありますよね。
現代の供給には
これまで生きてきた人たちの労働
が詰まっています。
会社に入社した時、
その会社には既に
設備や技術がありましたよね。
これが過去からの労働の蓄積です。
ということは、現代の労働もまた未来へ蓄積されています。そのうち、スマホよりもっと便利な次の何かが出来るかもしれませんね。
僕たちが当たり前のように使ってる道路や水道は数十年前のGDPに含まれていて、その時代の労働によって作られている。
引用:お金の向こうに人がいる 171p
社会は供給で出来ていますが
それは必ずしも【現代の人力】に限りません。
むしろ人力の比率は
文明が進化するほど小さくなっていきます。
我々が今享受している供給は
②過去の機械(自動化)
③現在の労働(人力)
④現在の機械(自動化)
の4つから成っていると考えられる。
働かなければ生きていけない、
という【観念】の働かなければ、
は③のみを指す。
我々が享受している供給の中で
③の割合はどれくらいだろうか?
お金の向こうに人がいる。
確かに、そうだ。
しかし、それはそのまま
「お金の向こうに、
今現在人力で働いている人がいる」
という意味ではない。
お金の向こうにいるのは
「昔の人が(労働によって)作った機械」
である場合も【非常に】多い。
私は
世の中金ではなく
供給能力である、
ということを【強調】するために
この絵を使ったが、
これだけだとあたかも
「人力のみ」と勘違いされるかもしれない。
なので、
↑この辺も供給能力なのだ。
世の中人力労働→人力の割合は文明の進化に伴って小さくなっていきます
株式投資って社会貢献になるの?
ここから株式投資の話に一旦なります。
私が著書に興味を持ったのも実はここですw
①新規株式が発行される
②新規株を我々が買う→企業にお金が渡る
③その資金を企業が事業に使う
という流れであれば、
株式投資は社会貢献になる、
と言えますが
私がトヨタの株を100株持っていて
これを売りに出し、Aさんが買った。
……この場合起きているのは、
私とAさんのあいだで
株とお金が【交換で移動】しただけ
で社会貢献になってると言えますか??
そして株式売買の殆どは、
【ケース2】後者ではないでしょうか??
ちなみに、上の場合でトヨタが発行済み株式を買い直すことを、自社株買いという。
現代日本の株式投資の99%はギャンブル
まず、株式には
②発行済み株式
がある。
①が購入された時「のみ」
企業側に資金が渡る。
②は企業とは無関係の場所での
第三者の売買に過ぎない。
744兆円。
このうち
新規発行株は、2兆円以下。
742兆円は、
発行済み株式が売買されている。
700兆って^^;
会社とは別の所で
保有者Aが売り、保有者Bが買い、
その差額をAが得た……(Aが儲けているかどうかはAの購入価格による)
が起きているだけなのだ。
会社の成長には全体の1%も使われていない(会社にお金が流れているわけではない)。実質的には転売がされているだけである。
この新品で本を買う、のが新規発行の株式を買うこと、で中古で売買するのが、発行済み株式を売買すること。後者の場合は企業にお金が流れないということです。
現代日本の株式投資の大半は
実質投機ということだ。
株主は保有株式に応じて企業に対しての議決権を持つため、その影響力を行使して社会貢献につながる行動をするケースもある。また、転売で儲けられること自体が、新規株を購入する意欲にもなっている。
ここ↑で読めます。
ゼロサムの場合、次の3つのケースで使われるお金の量は同じです。
1.私が1万円使う
2.あなたが1万円使う
3.私があなたとの株の売買で1万円儲け(あなたは1万円損をし)、私が1万円使う
日本国債の売りを挑んだヘッジファンド
著者はかつてゴールドマンサックスに勤務し、日本国債のトレード(空売り)を仕事として経験している。
日本政府は1000兆円もの借金を抱えているのに、どうして破産しないのか。世界中のヘッジファンドが日本が破産することに賭け、日本国債の空売りで一儲けを企んだ。しかし、そのほとんどが大損して去っていった。彼らはこの謎が解けなかった。
引用:お金の向こうの人がいる 6P
投機会社は、借金の積み上がっている日本がギリシャのように破綻すると思い、日本国債に空売りを仕掛けてきました。そして負けまくりました。ゴールドマンサックスですら?このようなレベルの方針(日本は借金大国なのでギリシャみたいになるから売りで儲けられるハズ)で投機を行っていたことに驚きますね。
その経験を経て著者は
「日本は破産しないし、
日本国債は暴落しない」と理解した。
理由はもちろん、日本に
巨大な供給能力があるからです。
(おまけで、ギリシャのように外貨建ての債務でもないからです(外貨建て債務に依存しなければならないのは結局供給能力がない場合))
これまで働いてきた人(労働者に限らずそれを支えた主婦とかも)と、今働いている人(労働者に限らずそれを支えた主婦とかも)の労働の結晶が、我々が現在享受している供給であり、日本の本当の財産だ。
日本政府の借金については、そのお金で働いてくれた人が国の中の人である限り、働いて返さなくてもいい。国の中にある財布から財布へ移動しているだけだからだ。
引用:お金の向こうに人がいる 222P
国の外の人である借金=外貨建て債務
自国通貨建ての借金で生まれたお金は、企業家計のお金に移動している。国の借金(負債)分、我々の資産が増えている。貨幣はその性質上、資産と負債(借金)が同額同時に発生し、同額同時に消滅する。
著書では最後に、
社会の本当の価値は何か?
そして、年金問題や、老後2000万問題などに言及されています。が、内容的にはここまでの記述と重複する(ここまでの内容を理解していれば書くまでもないレベルの話)と考えます。
「僕たちの輪」はどうすれば広がるのか?
著者が読者に問いかけている
「僕たちの輪」はどうすれば広がるのか?は
非常に難しい問題ですね。
まず、
「世の中金」
(で出来ている)ではなく
「世の中供給能力」
(で出来ている)が事実であることを
国民の多くが理解すること