一生独身か?専業主婦か?女性の人生を描いた傑作【永遠の途中】

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評価:★★★★


永遠の途中は、2人の女性人生幸福生き方について書かれた小説です。
元は同僚の女性二人が、1人は結婚して家庭を築き、もう1人は仕事に生きるキャリアウーマンとしての人生を歩みます。それぞれの視点から、運命の分岐点である27歳、30歳、33歳、39歳、42歳、47歳、52歳、60歳を描きます。筆者は作家の唯川恵さん。2002年に女性自身に掲載されました。バブルが崩壊して10年。日本が本格的に長い不況に突っ込み始めた時代ですが、まだまだステレオタイプの生き方が標準であり、女性は専業主婦になるか仕事に生きるか、という時代でした。もちろん時代は今とは少し違います(本作品は丁度国民が実感できるくらいの不景気に差し掛かった頃。はっきり言って今よりずっと良い時代ですw)が、非常に読む価値のある作品だと思います。


私はこの本を20歳で購入し、読んで鬱になりました(笑)夢も希望もないな人生、って思った。生々しいリアルな女性の人生を描いた作品であり、本当に現実的で、憂鬱になります。打算しまくりで高潔さとか登場人物全員欠落してます。浮気不倫もドロドロです。欲望全力投球である意味人間らしい。これを読んだら女性と結婚したくなくなるw女の人ってこんな汚い生き物なん?って思ってしまいました当時。こんなのが女性の本性なら男性は女性を盲目でしか愛さないだろう。それくらいの内容です。


【以下ネタバレあり】




27歳


主人公は、薫。専業主婦になる女性。乃梨子。キャリアウーマンとして生きる女性。この2人です。薫は受験戦争や就職難を勝ち抜き、大卒で勤めた会社を5年それなりに頑張ってきたが、特に仕事に秀でているわけでもない自分の限界に気付き、仕事に生きるよりも家庭を築いて幸せになる決意をした。給与は高い。しかし、仕事に忙殺されていてプライベートはないも同然。こんな生活ずっとなんて嫌。職場の40代独身女性からは悲壮感が漂う。ああはなりたくない。なにより同じ部署に、郁夫(31歳)がという男性がいた。仕事はトップクラスに出来るがかといって仕事の鬼でも出世の鬼でもなく、ユーモアと気配りに長けた男性。次男。一方女遊びもせず、恋愛に無頓着な一面もある。まさに、多くの女性の理想像、結婚したいタイプナンバー1みたいな男。郁夫の妻になりたい。同然郁夫は社内の独身女性にも人気があり何人もの女性が郁夫を狙っていた。このままでは誰かに取られる


決定だったのは、同い年の親友であり同僚の乃梨子が、郁夫が好きだと解ったからだ。乃梨子は自分よりも美人で仕事が出来る。スタイルもいい。薫も優秀だが、乃梨子は超優秀なのだ(だが男性からの評価は薫の方が高い)。このままでは郁夫を乃梨子に取られてしまう。そう思った薫は即座に行動、郁夫に告白し、結婚を決めた。彼をサポートする人生を選んだのだ。
一方乃梨子はキャリアウーマンとして活躍していたものの、恋愛や結婚にも憧れ、いずれは家庭を持ちながら仕事と両立していきたいと考える女性だった。共働きを受け入れてくれる男性を切望していた。その男性とは郁夫である(一度酔ってキスもしている)。そして自分が郁夫を好きだと言うことを知った薫が郁夫を早急にものにしたことに乃梨子は気付く。




乃梨子もまた薫に対して劣等感を持っている部分があった。容姿や仕事では自分が優れているものの、女性らしさでは薫が上であったのだ。そして郁夫は薫に取られてしまった。結婚直前乃梨子は郁夫と居酒屋に行く。薫と結婚に至った経緯を聞いた。突然の告白に驚いたという郁夫に、それは薫の手だと乃梨子は思う。男はなぜそれが女の手だということがわからないのだろう、と。薫も緻密に計算して郁夫を落としたわけではない。だが、自身の直情的な情動すらも目的のために操っていた。そういうえげつない部分が女にはあって男はそれが見えないのだ、と(ぶっちゃけこの辺は男性側からしたらどうでもいいですw深層心理で打算的なんてある意味誰しも当然でしょう。私が薫に幻滅したのは39歳で浮気した時です)。薫は勝ち誇っていた。乃梨子は薫に負けてしまった屈辱感を味わう。郁夫は送別会で皆にこう告げた「薫は俺が必ず幸せにします」


違和感が結婚してすぐに出てきた。完璧な男だと思っていた郁夫が、結婚式に薫よりも母親の意見を優先し始めたのだ。更には新婚旅行に同席したいとまで言い出す始末。ここで郁夫と薫はけんかになってしまう。今更結婚を辞めるわけにもいかず結局薫は折れ、新婚旅行は義父母同席となった。ハッキリ言って郁夫は仕事が出来てそこそこ高収入という利点があるだけで他はダメというか虚無的というか、ペラペラですね。キャラの書き込みが足らないからペラいのか?って言うと違って郁夫みたいな生来虚無的な男性って割といますよ。むしろ郁夫寄りの男の方が世の中多いんじゃないかって。

30歳


乃梨子は出世し、主任になった。6人の部下が出来た。郁夫は課長になった。そして34歳になった郁夫は24歳の人事課の女の子と浮気していた。本気ではなく、単なる遊びの浮気。郁夫は夫婦生活に不満があると言います。妻は遊び惚け、「私ばかりが犠牲になっている」と愚痴る。家庭を守り夫をサポートするために主婦になったんじゃなかったのか、と。そして子供を作る行為すらしなくなっていると(妻とは)。乃梨子はそんな郁夫に、自分は仕事を取る人生を選んだ、と言う。結婚はしなくていい。でも恋愛は楽しみたい(27の頃と言うこと違う)。乃梨子には年下の恋人が出来ていた。24歳の男の子で仕事で知り合った仲。情熱的に口説かれ、乃梨子は年下男子との恋愛にのめり込みました。郁夫への未練も、年下男子との恋愛で随分紛らわすことが出来ていた。


一方薫は義母から子供をせかされていた。夫婦に過干渉な義母に3年間付き合い疲れていた。子供が出来ないことと義母が悩みの種となり郁夫とも口論してしまう。一方、郁夫は良いこともあった。一軒家持ち。収入が安定した夫を持つことで習い事や娯楽に時間を使え、お金も好きに使って遊べた。しかしどこか感じられる物足りなさ。楽しいと言うよりも、楽しいことはそれ(お金を使った娯楽)しかないような気さえしていた。夫の性的欲求もかなり前に消えていた。そして郁夫の浮気に薫は気付く。乃梨子の方はマンション購入を考えていた。年下の恋人と一緒に住めたらと淡い期待を抱いていた。しかしすぐに年下男子からは振られ(若い女に取られた)、マンションは一人で購入。薫の方はようやく妊娠をした。乃梨子は憂鬱になる薫との差をさらに広げられた気がした。

33歳


薫の娘沙絵が3歳になる(この娘さんも将来子持ち男性と不倫するんですけど)。可愛い子供は薫の生きがいとなっていた。夫婦仲は冷めていて営みなどなくなっていたが、子は鎹で娘に対しては郁夫も甘かった。3年前の不倫もただの女遊びで本気ではなかった(相手の女の子は本気だったようだ。ちなみに郁夫は自分の娘が既婚者男性と浮気しているのを知って娘を殴ります。自分も昔同じことしてましたよね)。結局不倫を薫は許した。妻の座は強い。夫は遊んでも結局妻の所に帰ってこざるをえないのだ(社会の目があるから)。浮気で別れる夫婦も多いだろうが、薫は強か(したたか)だった。主婦という社会的立場を第一に考えて行動した(ここで離婚していたら慰謝料は取れただろうが、今の優雅な生活からは遠く離れた暮らしになる。つまりはソロバンを弾いたのだ)。




専業主婦としての仕事、子育てはちゃんとこなしている。しかし夫からは結婚当初以外ねぎらいの言葉はない。夫との間に上下関係があるようで薫は嫌だった。郁夫は今自分は娘の為に働いているという。結婚当初は妻である自分の為に働いてくれていたはずなのに。結婚した時の「必ず幸せにします」とは何だったのだろうか。乃梨子とも久しぶりに会った。乃梨子の方は変わらず働き詰めで、毎年のように海外旅行に出かけていた。環境がまるで違っていたせいか、2人は会話も噛み合わなくなっていた。


主任である乃梨子は、ディナーショーの企画を任されていた。これを成功させれば更なる出世への道が開ける。不出来な部下社員の失態を負わされ、乃梨子はがけっぷちにいた。企画の為に必死に頑張る乃梨子。しかし自分はどうしてこんなに頑張っているのだろう。多少出世しようとも雇われの身で定年退職が待っているだけ。老後多少金があっても自分は独りぼっち。薫は平凡な主婦だが子供も孫もいるだろう。確実に自分は薫に負けている。薫の悩みは娘のお受験?社会相手に闘っている自分とは悩みの次元が違った。




企画が終われば、北欧旅行をしよう。それだけを糧に頑張った。しかし、企画は成功しなかった。ディナーショーにはまるで客が来ず、乃梨子の出世への道は閉ざされた。その夜田舎の母からお見合いの話が合った。乃梨子は自分も男性に守られて生きたいと思って見合いに期待した。しかし、見合い相手の写真を見て絶望した。40半ばのおじさん。まるで魅力がない。役所勤め、子供が二人いた。中学二年生と小学六年生。泣けた。今の自分に似合う相手は、このレベルの男なのだ(33歳美人、結婚歴もないのでもう少しましな相手がいそうだけど)。


一方薫の夫である郁夫はまた別の若い女と浮気をしていた。登場人物の民度が大学生のヤリサー状態である。しかし薫には余裕があった。結局女遊びをしても娘もいる家庭に男は帰ってこざるを得ないのだ。働いてくれているのだから女遊び位させてやろう。なんだかこの夫婦に愛があったのは結婚後1年くらいだけだったように思う。あとは社会的なしがらみのみで夫婦関係を維持する仮面夫婦だ。しかし内心面白くなかった。だがそれは夫に対する嫉妬や独占欲とは違い、なぜ自分ばかりが我慢しなければいけないのか、という思いだった。




まだ34歳。女として死んではいないのに、もうそういうことは長年、ない。優しさすら見せない夫がそれをしてくれるはずもなく、ただただ朽ちていく身体に薫は戸惑う。今の生活は安定はしている。夫には十分な収入もあり、娘もいる。絵にかいたような平凡な成功した人生。だが実際は砂の味しかしない。薫は元カレに連絡を取った。学生時代の恋人である。互いに結婚している。迷っていたが郁夫が愛人と外泊をしたのをきっかけについに元カレに連絡してしまう薫。食事に出かける薫。食事だけのつもりだが、もし誘われたら応じようと思っていた。しかし、元カレは34歳のオッサンになっていて見た瞬間冷めてしまった。

39歳


乃梨子は会社を辞めた。失業保険で暮らしてはいるが、マンションのローンもあり、将来は暗かった。33歳の時のディナーショー以降、仕事は失敗が続き、立場が悪くなり、転職先を見つけての辞職だったが、辞職した段階で転職先がなくなってしまったのだ(深い関係になった男(既婚者)がヘッドハンティングしてくれる話だったが、それはただの口説き文句だった。男の方も仕事が上手くいかず転職の話は無くなった)。郁夫は次長に出世していた。仕事だけはバリバリである。乃梨子は毎年海外旅行を繰り返していた。仕事のストレスがあり過ぎてそれくらいの贅沢をしなければ気を紛らわすことができなかったのだ。しかしその旅行もさすがに無職の今は無理である。39歳独身の女が実家に帰っても居場所はない。薫からは二人目の子供が生まれると報告があった。傍目から見れば結婚をした薫との差は歴然。唯一の支えであったキャリアは辞職で跡形もなく消えた。どうしてだろう。懸命に生きてきたし、何か酷いことをしたわけでもない(転職の際の不倫くらい)。なのにどうしてこんなにも不幸の底なのだ。普通の、夫と子供がいる家庭を持ちたかった。何か特別大きなミスをしたわけでもないのに、普通はもう届かない位置にいた。


(ここまで白だった薫が黒になります)
一方男の子を妊娠したばかりの薫は、不倫をしていた。習い事教室で知り合った30代半ばの男(妻子あり)だ。このまま女として終わってしまうのがもどかしかった。それと郁夫が自分を愛してくれていない仕返しの気持ちもあった。すっかり女でなくなった自分の時間が戻った。食事は最初だけで後はひたすらホテルだけのデート。燃え上がった薫は、不倫男が相手してくれなかった夜、身体のほてりを鎮めるために、強引に郁夫と関係を持った。その時に、長男が生まれたのだ。薫は乃梨子に差をつけた気分になった。乃梨子はどうやら転職に失敗したらしい。自分には二人もかわいい子供がいる。正解は自分の人生の方だ。だけどどこかでかっぽり空いた心の穴がある。これはどうすれば埋まるのだろう(穴は郁夫じゃね?)。




乃梨子にも転機が訪れた。最後の贅沢でいった旅行先で知り合っていた女性(由樹)をツテに、旅行代理店への転職が成功したのだ。かつてのキャリアが生きての転職だった。その就職先である程度仕事をこなした乃梨子は、誘ってくれた由樹と2人で起業した。

42歳


薫の娘沙絵は12歳になり中学生になった。下の男の子、浩太は3歳だ。郁夫はついに部長に出世した。次は役員になれるかもしれない。本当にここだけは薫の期待を裏切ることなく郁夫はやってくれている。家をリフォームし、ローンも完済した。郁夫の収入がすべてを叶えてくれた。郁夫も歳のせいか浮気性もおさまり、穏やかな夫婦関係になってきている。一時の感情で道を踏み外さなくて良かったと思った。乃梨子は会社を立ち上げ社長になっていた。本来なら羨ましがるかもしれないが、自分には家庭と子供がいる。幸せなのだと薫は自分に言い聞かせた。


乃梨子は共同で会社を立ち上げた由樹と意見の食い違いが起きていた。まだなんとかやっていたが、妻子ありの男に由樹が惚れてしまい、その男が経営にまで口出すようになってきた。結果、乃梨子は由樹と決別し、本当に一人だけで会社を興した。旅行ツアーの会社である。以前より毎年出掛けていた海外旅行の経験が生きたのだ。

47歳、52歳、60歳


さて、これ以降、晩年を迎える薫と乃梨子はどうなるのでしょうか? 当記事での紹介はここまでにして、これ以降が気になった方は本を購入して読んで見て下さい(さすがにこの記事で全部語るわけにはいかんでしょうw)。


薫と乃梨子、専業主婦に20代でなった薫と、仕事に生きる選択をした乃梨子。どちらが幸せになるのでしょうか。ここまでみだらでなくとも、2人ともわりとありふれた女性に見えます。いえ20歳当時はこれ読んで女性と人生に失望しましたけどw性的にはみだらですが、2人とも相対的に不幸ではないのかもしれません。薫のように郁夫みたいなエリートと結婚できる女性は少ないでしょうし、乃梨子のように能力があり、高収入、起業も成功する女性も少ないです。二人とも必死に「それ」を掴み取りに行っていますけどね。また、なぜ乃梨子が独身を貫いてきたのかの心うちも語られます。そして乃梨子は矛盾したことを述べます。事業で成功したことに関しては運ではなく完全に実力と努力の賜物、と言いますが、結婚できなかったことに関しては、完全に運がなかったというのです。
女性にも男性にもおすすめできる、人生の小説です。
専業主婦働く女は理解し合えないと乃梨子と薫は言う。私はこう思う。別に理解し合えなくていいんじゃないかと。適度な距離を取り、互いを憎まなければ別にいいんじゃないかと。……私の方が薫や乃梨子よりずっと冷めているのかもしれませんね。人間、なかなか理解はしあえません。血が繋がっているか結婚したか、違っていても好き、くらいじゃないと、ある程度割り切らないと付き合っていられないんじゃないでしょうか。

小学校時代からの友人の話


私には小学校時代から友人である男がいます。小中高と同じ学校で何度か同じクラスにもなりました。中学校でひと際仲良くなり、高校時代では最も仲が良かった。高校時代はしょっちゅう互いの家に行き遊んでいました。高校卒業以降も年に数回は主に高校時代の友人と集まって食事をしたり、酒を飲んだりをしてきました。ちょうど距離感的に薫と乃梨子くらいの間柄です。彼は24歳の時に後輩として入社してきた1つ年下の可愛らしい女性と付き合い(相手の女性が自分が個別指導する部下として配属されてきた)、29歳でその子と結婚し(私も結婚式に出席し、受付をやりました)、31歳くらいで子供を作りました。娘です。34歳くらいに2500万円で30年くらいのローンを組んで一軒家を建てました。ここ数年はコロナですっかり会う機会が減りましたが、長く付き合っている友人です。しかし距離感は薫と乃梨子くらい離れているでしょう。いちばん親しい友人でもそんなものです。





小学校時代からの付き合いである友人に嫉妬しないのか? よく仲良くやれているな、と思われた方もいるかもしれません。ちょうどこの本の薫と乃梨子のような心理でね。私は結婚もしてないし子供もいないです。しかし旧友である彼はそれらすべて手に入れている。顔とかのスペックは私と変わらない。そんな努力したようにもまるで見えない。嫉妬しないのか?ってことですよね。嫉妬しましたよ。なんで? って思ったこと、あります。特に出会いの部分です。自分の直属の部下(しかも1:1)に可愛い子が配属ってなかなかないです。まるで巡り合わせのように出会って結ばれてますから。「それ」めちゃくちゃ運良いですよ、相対的に。だから、嫉妬はしました。でも、考え方で割り切りました。私の友達は女性と付き合い女性と結婚し子供を産んでいる。……何が悪いの? 何も悪いことしてない。私に対して本当に何も悪いことをしてない。仮に私が不幸だったとしても、なぜその怒りや不満が彼に向かうの? 関係なくね?(もし怒りを向けるとしてももっと先に向ける場所いくらでもある) 彼が仮に独身だったとしても私は変わらず不幸でしょう。って考えました。そりゃ私(独身者)を露骨に見下したりすれば別ですよ、別っていうかそんな奴ならさすがに関係切ってるでしょう。でもそんなことしないんです。そんなことする奴じゃないんです(この意見だけ聞くと大人の考えみたいに見えますけど、一概にそうとは言えませんよw割り切ってるんだから)。

仕事に生きる、家庭に生きる


この2つのステレオタイプの生き方で、幸せになれる社会こそが、良い社会だと思う。社会が悪くなくなってくると(格差拡大や貧困化)、このステレオタイプの生き方をしているのに幸せではない人が増えていく(結果、社会が混乱し益々良くない方向へ向かう)。特別変わった生き方(ネットで時たま話題になる独特な生き方)をする人もいるがそれは例外で、一般的な人たちはステレオタイプの生き方をして幸せになればいいのだと思う。
本書のメイン登場人物の中だと、一番薫がマシだと思う。郁夫はぶっちゃけ仕事以外全部だめで、乃梨子は私とは合わないタイプだ。薫は「郁夫が優しくていい夫なら」という条件が+されたらいい人生を歩む素晴らしい女性になっていた気がする。もっとも、その優しい夫とやらは郁夫より遥かに下で恋愛対象にすらならないと薫に判断された男の中にいたのかもしれないが。



(近年は、供給力補充のために女性の社会参加が浸透し、結婚しても働く、共働き、が標準になってきています。順調に社会が退化していってますね^^)







唯川恵さんは本当に文章が上手いです。本当に文章が上手いってこういうことでしょう。最近学術書を読んでいてうまく見えるだけ超難解な文章にトコトン辟易してましたから。解りやすくて拙くもなく知りたい情報は全部入ってきます、飲むように読めます。1ページ読むだけで50m走全力疾走した後みたいに疲れるややこしい文章の小説も多いですが(加えて少しでも斜め読みすると場面が転換し何をやっているのかすら分からなくなる)、この本は普段読書しない人でも一晩(せいぜい一週間)で読めますよ。








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